連載『生活と環境』+α情報(寄り添ったあとの喜び) 『生活と環境』11月号「保健所・環境衛生監視員 入門講座編、第4回」

・寄り添ったあとに得られたものは、人と人とのつながりでした。

浴槽水の水質検査の光景

『生活と環境』11月号で「差がつく保健所・環境衛生監視員 環監未来塾 入門講座編、第4回寄り添う姿勢をもつ」を書きました。

原稿余話として、公衆浴場のレジオネラ症対策のお話をしましょう。

公衆浴場のシャワー水を感染源にレジオネラ肺炎の患者が出ました。

その事故をきっかけに、最重要課題としてレジオネラ症対策に取り組んだのです。

区の基本構想実施計画の事業のひとつにレジオネラ症対策が挙げられ、広報(区報)に掲載されて広く区民に知られるようになりました。

対策では、5つのことに取り組みました。

①現場の衛生指導強化

②対策指針の策定

③「シャワー水からレジオネラ属菌が検出されないこと」を入れた条例の整備

④監視指導計画の作成

⑤施設の消毒装置設置への補助金制度の新設

こうした対策の実施とともに、シャワー水からのレジオネラ属菌検出がなくなりました。

その成果を、生活と環境全国大会の事例研究発表で報告しました。

審査の結果、内容が認められ、最優秀賞を受けました。

受賞をいちばんに伝えたかったのが、当初の保健所の度重なる現場指導に、「店をつぶす気か」と不満を持ちながら協力してくれた銭湯の営業者のみなさんです。

ただ、汚点にふれるような報告を、どう受けとめてくれるのか、私には不安がありました。

月に1回、開かれる浴場組合の定例会の席で、私は、半分、恐る恐る表彰状をみなさんの前に広げました。

その瞬間、会議室に鳴り響く拍手を受けたのです。みなさん、自分ごとのように、満面の笑みがこぼれていたのを思い出します。

みなさんに認めてもらえたんだと思いました。

うれしくて、胸が熱くなりました。

いまでも、忘れられない場面です。

ときには「何回、来るんだ」と叱責をあびながらも、信念を曲げずに「長く営業してほしい」と寄り添って衛生指導・助言をつづけてきてよかったと思いました。

寄り添ったあとに得られたものは、人と人とのつながりだと感じたのです。

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