1月号『生活と環境』+α情報 事実質問をする

マサ「さくらさん、この会話を聞いてみて、どこにポイントがあるかわかるかな」

『生活と環境』2022年1月号
差がつく! 保健所・環境衛生監視員
~環監未来塾 入門講座編~
第5回 事実質問をする

掲載された会話につづく、
マサさん、さくらさんの応用編が
展開されていきます。

◎応用編にチャレンジしよう

マサ「それじゃ、もうひとつ。高等テクニックを披露するよ。アルコール消毒についての事実質問だ。消毒用エタノールの容器のラベルを見ると、色あせて1年以上は経過しているなと感じたときを考えてみよう。さくらさんだったら、何を質問するかな」

さくら「いつ、買いましたか。どこで、買いましたか」

マサ「いいね。そうだね。その質問に店主が『いつ買ったか、どこで買ったか、おぼえていないね』と話したら、そのあと、何を話したらいいかな」

さくら「困りましたね。話がつづきません」

マサ「問題なのは、時間の経過でエタノール濃度が下がっていて、十分な消毒ができないかもしれないことだ。それに気づいてもらうことが大切だと思うんだ」
「たとえば、店内に金魚の水槽があったとしよう。ひとつの会話の例をあげてみよう」

マサ「金魚が気持ちよさそうに泳いでますね。しっかり水槽を手入れされていて、中がよく見えます。エアを送って、水に酸素を供給しているのですね」

店主「その金魚は、飼って5年以上になるかね」

マサ「水槽の水は、自然に減ることはないですか」

店主「エアを送っているせいか、いつの間にか水位が下がっていて、水を補給してあげることはあるよ。先週も、水を足したんだ」

マサ「なるほど。実は、消毒用エタノールの瓶も同じことが起きているのです。時間の経過と、温度の影響もあって、エタノールが蒸発して濃度が下がってしまいます」

店主「そうなのかい」

マサ「(消毒用エタノールの瓶を見つめて)……」

店主「新しい瓶を、近くの薬局で買ってこよう」

マサ「さくらさん、この会話を聞いてみて、どこにポイントがあるかわかるかな」

さくら「え~と。そうだ。答えを伝えないことではないですか」

マサ「そのとおり。相手に気づいてもらうことがいちばん大切なことだね。相手の行動変容のためには、自発的な気づきが何より重要だと思う」

さくら「きょうは、頭に詰め込みすぎちゃったかな」

マサ「一度で、できるようになろうとは考えなくていいよ。あせらず、一歩ずつ、いっしょに前へ進んでいこう」

さくら「よかった。安心しました」

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