環監のための仕事術【入門】現場で信頼関係をつくる方法
【私の視点】
相手に興味、関心をもつ。
それが、信頼関係をつくる原点だと思います。
2022(令和4)年11月下旬に、川崎市衛生関係職員研修会(会場開催)で講師をつとめました。
テーマは「現場の衛生監視指導・助言を生かすコミュニケーション・スキル入門編」です。
90分の体験型・参加型のワークショップで、環境衛生監視員や食品衛生監視員など14人が参加しました。
研修後に、質問がありました。
環監や食監などの業務に大切な内容ですので、ご紹介します。
【質疑応答】
質問1:
現場の経験が少なく、余裕がないので、現場へ行っても検査のことしか話せません。
回答:
無理に相手との距離を近づけようと考えなくてもいいでしょう。
自分自身にプレッシャーになるようなことは考えなくていいと思います。
そのプレッシャーは、相手にも伝わってしまい、緊張感を生んでしまうかもしれませんから。
自分のキャラクターを生かし、そのままで検査のなかで会話を進めて、その途中や、検査の最後で、ほかの店と違うものを発見したとき、その点に素直にふれて会話をしてもいいでしょう。
相手が「よくぞ、そこに気がついてくれましたね」と思うことがあるかもしれません。
そのときが、距離を近づけて、信頼関係をつくるきっかけになると思います。
また、検査の途中や最後に、自分が店内を見て「清潔にしているな」「衛生管理にがんばっているな」と思ったときは、そのまま「清潔にしていらっしゃいますね」「衛生管理にしっかり取り組んでいらっしゃいますね」とひと言そえるだけで、言葉を受け取った側はうれしいものです。
そのときが、距離を近づけて、信頼関係をつくるきっかけになると思います。
いずれにしても、検査の回数を重ねていくと、気持ちに余裕が出てきて、力が入らない自然な会話ができてくるでしょう。
質問2:
環監の現場経験が1年しかなく、検査のとき会話をうまくできません。
回答:
新人や新任者は、現場で知らないことが多くあります。
それを、逆に利点に変えることができると思っています。
「新人なので、勉強不足で恐縮です。お手数をおかけして申し訳ありませんが、私の勉強のために、消毒液のつくり方を見せていただくことはできますでしょうか」
やさしい店主なら、あなたの思いを受けて、「いいよ。それじゃやってみせるよ」と言ってくれるでしょう。
そのとき、教えてもらう姿勢で、真剣な眼差しで見ていれば、その熱意が店主に伝わります。
店主とあなたとの距離が近づき、信頼関係をつくるきっかけになると思います。
質問3:
以前、検査先で『いつもきれいですね』と言ったら、それを施設の人が『きれいにしなくちゃいけないわ』と心の負担に思ったと話していました。それから、施設へ行きづらくなりました。
回答:
褒めたことが、逆に相手の心の負担を生んでしまった例です。
正直、この事例のようなことを考えていませんでした。
実際には、あり得ることですね。
主な検査を終えたあと、思いきって、衛生管理とはまったく関係のない話にふってみてはどうでしょうか。
「この人、固くない、意外と話せる人だなあ」と思ってもらえたら、気持ちを楽にしてもらえるかもしれません。
【私の視点】
相手に興味、関心をもつ。
それが、信頼関係をつくる原点だと思います。
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【実績】
・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。
・2022年、東京・特別区職員研修所、令和4年度 専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「災害時の避難所の衛生・感染症対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。