環監・保健師のためのレジオネラ症対策【入門】ATP値は通常との違いのサインをみる

【私の視点】
ATP値を通常との違いに気づくサインとして、読んでいます。
ATP検査結果は、ほかの水質検査結果、遊離残留塩素濃度、調査結果(記録の確認、構造設備の点検、聞き取り内容など)とともに総合的に判断することが大切です。

公衆浴場等の現場で活用されるATP測定器

2022(令和4)年11月上旬に、国立保健医療科学院の令和4年度短期研修・環境衛生監視指導研修(オンライン)で講師をつとめました。

テーマは「環境衛生監視指導の実際、公衆浴場のレジオネラ対策」です。

体験型・参加型のワークショップで、全国の保健所•環境衛生監視員39人が参加しました。

講義のなかで、各参加者へ事前に送付されたATP測定器を使い、ATP検査法を実習しました。

研修後に、質問がありました。

環監業務に大切な内容ですので、ご紹介したいと思います。

【質疑応答】

質問1:
公衆浴場のATP検査をはじめて実施しました。
浴槽水とシャワーヘッドの拭き取りを行いました。

浴槽水:5~200・RLU
拭き取り:1,000~30万RLU

この結果を、どう評価しますか。
どのような指導をしたらいいのでしょうか。

回答:
さっそく実践されて、うれしく思います。

講義でもお伝えしたとおり、ATP検査結果は、ほかの水質検査結果、遊離残留塩素濃度、調査結果(記録の確認、構造設備の点検、聞き取り内容など)とともに総合的に判断することが大切だと思っています。

今回の数値の背景が、どのような状況にあるのかが気になりました。

とくに、施設が日常に、どのように衛生管理、清掃、消毒などを実施されているのか知りたいと思いました。

30万RLUの数値は、設備の更新がなかったのか、掃除・消毒をしていない状況なのか、その場所の使用頻度が極端に低いのか、そうした背景を知りたいと思いました。

ご参考までに、私自身は、ATPの数値のみで判断し、指導という形をとったことはなかったと記憶しています。

質問2:
講義資料で、浴槽水の閾値は76・RLUとありました。

例えば、100・RLU以上の浴槽水については、日常的な清掃・消毒や浴槽水の塩素管理について徹底しましょうと施設へお話しできるのでしょうか。

回答: 
浴槽水の原水のATP値がどのくらいか気になりました。

私は、これまでATPの数値が高めと思ったときは、通常と違う何らかのサインだと受け取っていました。

何がATP値を高める原因かを、知りたいですね。

施設側の立場とすれば、何が問題で、何をすれば改善に向かうのかがわかると、行動に移しやすいでしょうね。

繰り返しになりますが、私は、ATP検査結果について、ほかの水質検査結果、遊離残留塩素濃度、調査結果(記録の確認、構造設備の点検、聞き取り内容など)とともに総合的に判断することが大切だと思ってきました。

質問3:
拭き取り検査について、30万RLUはリスクが高いといえるような値でしょうか。

回答:
私の経験としては高い数値とも感じます。

しかし、これまで私は、ATP値が高い、それだけで即リスクが高いとは結びつけてこなかったように思います。

なぜ数値が高いのか。その原因を知りたいですね。

私の現場経験の一つで、公衆浴場の配管洗浄に立ち会い、配管洗浄の前後で浴槽の内壁のATP値の違いを測り、営業者とともに数値の変化を確認したことがありました。

そのデータは、私自身の洗浄助言の際の参考データになっています。

また、洗浄による数値の低下は、施設の洗浄実施への大きな動機づけになったと感じました。

質問4:
ぬめりを拭き取ると、どのくらいのATP値になるのでしょうか。

回答:
ぬめりを10cm四方で拭き取るのは現実的ではありません。

ぬめりそのものを測れば、今回の最高値以上になるかもしれません。

ぜひ、ご自身でも測ってみてください。

【私の視点】

私のこれまでの経験では、ATP検査は、数値化されてわかりやすい半面、数値そのものが一人歩きしてしまう可能性も含んでいると感じています。

その点を肝に銘じて私は、数値を通常との違いに気づくサインとして、読んでいます。

ATP検査結果は、ほかの水質検査結果、遊離残留塩素濃度、調査結果(記録の確認、構造設備の点検、聞き取り内容など)とともに総合的に判断することが大切だと思います。

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【実績】

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度・環境衛生監視指導研修で「環境衛生監視指導の実際、公衆浴場のレジオネラ症対策」(オンライン)の講師をつとめました。

・2021年、高知県、令和3年度入浴施設におけるレジオネラ属菌汚染防止対策講習会・環境衛生監視員を対象とした現場研修会「循環