【入門】環監・保健師のための防災◎災害時のトイレの衛生

【環監の視点】
・災害時に生活者の命・健康を守るために、トイレを清潔に保つことが大切です。
・避難所のトイレの清掃例は、午前2回、午後2回、夕方1回の1日5回です。

熊本地震被災地のトイレ(2016年5月撮影)

2022(令和4)年4月下旬、トイレラボ勉強会『ウクライナ避難者支援活動とトイレ衛生』(主催:日本トイレ研究所、オンライン)に参加しました。

約40人のかたが参加しました。

報告者は、難波妙さん(特定非営利活動法人アムダ理事)です。

難波さんは、3月上旬から約1カ月、ハンガリーの国境沿いのベルグスラーニーで、ウクライナからの避難者に対する医療支援活動をされました。

ハンガリーは、ウクライナから西ヨーロッパへ向かう中継点になります。ベルグスラーニーに着いた避難者の多くは、1~4日の滞在のあと、すぐに移動していったそうです。

逆に、生活物資を揃えて、ウクライナに戻る人もいたとのことです。

難波さんの話から、避難生活の一部がわかりました。

コンテナが避難者のかたの生活スペースになっていました。

避難者の滞在エリアで、青いコンテナがトイレになっています。見ると、男性用トイレには小便器が複数ならんでいます。

トイレに電気は来ていないものの、コンテナトイレでは便器に水を流すことができます。

排水は、パイプを通して屋外へ運ばれていました。

コンテナトイレのほか、日本の工事現場で見られるような仮設トイレが、側面と内側を赤色にして、建物の脇に3台置かれていました。

トイレは、ボランティアが清掃をしていて、きれいに保たれています。

熊本県益城町出身で、熊本地震の際にも活動をされた難波さんの話を聞いて、益城町の避難所でのトイレの清掃を思い出しました。

地元保健師の話によると、トイレの清掃は、午前2回、午後2回、夕方1回の1日5回実施して、清潔を保っていました。

トイレが汚れてしまうと、ノロウイルスなど感染症が広がるおそれがあります。

また、生活者がトイレに行くのをためらったり、トイレに行かないように水を飲むのを少なくしたりすると、脱水症状、エコノミークラス症候群、生活不活発病などにつながる可能性があります。

難波さんの言葉を借りると、トイレの清潔は生活者の安心につながります。

何より、災害時に生活者の命・健康を守るために、トイレを清潔に保つことが大切なのです。

今回の報告のなかで、ハンガリーの首都ブタペストへ、家族で向かう小学生くらいの女の子が、別れを惜しんで難波さんに抱きつき、微笑む映像が印象的でした。その光景に、胸がしめつけられました。

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