【注意】地震断水時の避難所・避難生活の衛生・感染症対策(その24)

【保健師活動】避難所の衛生対策の疑問点に答える・その2
①毛布・布団の衛生管理
②吐物がついた布団類の洗濯
③排泄物ごみの置き場所
④トイレの案内係

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学校の砂場(イメージ写真)

元文京区文京保健所・環境衛生監視員で、『災害時・避難所の衛生対策のてびき』著、避難所衛生対策・レジオネラ症対策の研修講師をしている「オフィス環監未来塾」中臣昌広です。

地震の地域の皆様へお見舞い申しあげます。

次のとおり、【保健師活動】避難所の衛生対策の疑問点に答える・その2について、これまでの被災地での避難所衛生対策活動の経験を基に、保健所・環境衛生監視員の視点でまとめています。

全国保健師長会に情報提供しています。

ご活用ください。

全国保健師長会からお問い合わせがありました、能登半島地震関連の避難所の衛生対策の疑問点について、2回目のご回答です。

1 毛布や布団の衛生管理 
仮設住宅での布団干し(2017年、熊本地震被災地)

【質問】

布団を干したり洗ったりするのが難しい状況もあり、アレルギー症状誘発のリスクを感じました。

ご自身のスペースを掃除できたとしても、ご近所のスペースも含めてお掃除できないとリスク低減は難しいのではないかと感じました。
 
また、これからの季節、布団を敷きっぱなしだと、カビの心配もあると思いました。

布や段ボールで間仕切りをしていること、プライバシーの確保を考えるとその間仕切りを全開にするのはハードルが高いこと、寒いこと 等から、十分な換気を確保するのが難しい状況にあると感じました。

【回答】

可能な範囲で何ができるのかを考えてみます。

布団干しが難しい場合、布団乾燥機を用意して、布団乾燥をするのが選択肢のひとつです。

そのとき、寝ている場所と別の場所で布団乾燥をするのがポイントです。

布団が一時的に移動されると、生活スペースを掃除しやすくなります。

布団乾燥の場所がない場合、各自のスペースで布団乾燥をしてもいいと思います。

布団乾燥後、布団表面に掃除機をかけると、よりいいでしょう。

掃除機のホースの先端に布団用ノズルをつけて、布団の表面あたり20秒以上掃除機をかけるとアレルゲン量が1段階下がります。

週に1回、避難所全体の掃除タイムを設けて掃除をすると、避難所のなかで、室内スペースを清潔にする意識が生まれるかもしれません。

月に1回、すべての物を一時的に移動させて、大掃除ができるといいでしょう。

東日本大震災被災地の避難所で、実行されているところがありました。

参考となるページは、次のとおりです。

【保健師活動】避難所の室内アレルゲン低減と呼吸器系疾患予防

【保健師活動】避難所の衛生環境をアップさせる布団干しの方法

2 吐物がついた布団類の洗濯
避難所の洗濯機(2016年、熊本地震被災地)

【質問】

胃腸炎の嘔吐物が敷物に付着しているが、乳幼児の世話もあり、洗濯ができていない方がいた。

保健師がハイターで消毒したが、避難所の運営者は洗濯することを希望している。

【回答】

ノロウイルス感染症が発生している避難所では、次亜塩素酸ナトリウムによる嘔吐物の処理が不十分なとき、乾燥によりウイルスの飛散・感染の心配があるかもしれません。

0.1%次亜塩素酸ナトリウム液に浸けるなどの措置をすると安心ですね。

高濃度の次亜塩素酸ナトリウム液は漂白作用・腐食作用がありますので、色落ちする、金属部分が錆びるなどが起きる可能性があります。

洗濯する場合、次亜塩素酸ナトリウム液により、十分にウイルスを不活性化してから洗濯することが必要です。

洗濯のほか、廃棄をして、新しい物を使う選択肢もあると思います。

参考となるページは、次のとおりです。

【保健師活動】避難所でのノロウイルス感染症の予防と対処

3 排泄物ごみの置き場所
排泄物ごみの置き場の候補例(イメージ写真)

【質問】

携帯トイレや簡易トイレの排泄物ごみの置き場所は、どこがいいのでしょうか。

ごみ回収時の留意事項はありますか。

【回答】

以前に、特定非営利活動法人日本トイレ研究所の加藤篤代表理事にお聞きしたことがありますので、そのときのご意見を参考にお答えします。

排泄物の置き場所は、避難者の数を踏まえて、たとえば、学校の避難所で避難者200~500人以上であれば、多量の排泄物ごみが出ますので、校庭の一部を使わざるを得ないと思います。

実際に、校庭の隅に置かれた排泄物ごみの写真を、ネット記事で見ました。

置く場所は、悪臭の影響が少ないように、冬季の場合、北風を考慮して、避難者のいる校舎の南側校庭の隅が適していると思われます。

そのとき、ブルーシートで覆うことができるといいでしょう。

置き場所は、平時に決めておかないと、すぐに決めるのが難しいかもしれません。

例として、過去に私が避難所訓練に立ち会ったときには、使用していない動物飼養小屋、校庭の砂場などが候補になりました。

被災地の地元紙の1月なかばの記事をみると、発災10日目にごみ回収車が動きだしたとあります。

自治体によっては、おむつ、生理用品、簡易トイレなどのごみを優先して回収していました。

排泄物ごみは水分が多いので、平積みのトラックで回収されると考えられます。

トラックに排泄物ごみを乗せるとき、可能なかぎり、マスクや使い捨て手袋・ガウンなどを身につけ、作業後、十分に手指消毒するのがいいと思います。

4 トイレの案内係
避難所の電動式(ラップ式)簡易トイレ
(2018年、西日本豪雨被災地)

【質問】

高齢者が多い中、ラップ式トイレの使用方法の徹底ができるか、心配です。

【回答】

トイレ付近に、「トイレ案内係」を配置して、当初、使用者1人ひとりに、丁寧に説明するのがいいと思います。

1月上旬の地元紙の掲載記事が、私の考えと合致しました。

記事を理解すると、このような内容です。

輪島市の避難所のひとつで、仮設トイレの使用にあたり、案内係が立ち、注意点を呼びかけていました。

トイレ案内係の胸には、「トイレ案内」と大きな字で書かれたゼッケン状のものが下がっています。

1時間交代でトイレの前に立って、使用前・使用後の手指消毒や便座の除菌などを声がけしていました。

アルコールスプレーで手指を消毒する高齢者の姿がありました。

案内係の20代男性は、高齢者のなかには使い方が分からない人がいるので、説明が必要だとコメントしています。

こうした「トイレ案内係」を、電動式(ラップ式)簡易トイレの使用当初に配置して、使用方法などを1人ひとりに丁寧に説明することができるといいと思います。

 避難所のアセスメントについて、『災害時・避難所の衛生対策てびき』中臣昌広著・根本昌宏監修(一般財団法人日本環境衛生センター、税込1,500円)P165~P172にチェックリスト一覧表があります。こちらからご覧いただけます。現場でお使いください。

チェックリスト一覧表

上の画像をクリックすると、pdfが開きます。

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【ご案内】

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【実績】

・2011年、東日本大震災被災地で地元自治体に協力して避難所衛生対策活動、その後、2016年に熊本地震、2018年に西日本豪雨、2019年に令和元年台風19号被災地でも地元自治体に協力して避難所衛生対策で活動しました。

・2023年、令和5年度 兵庫県・北播丹波ブロック市町保健師協議会・研修会で、「災害時の避難所の衛生、感染症対策」の講師をつとめました。

・2023年、第54回 沖縄県衛生監視員研究発表会及び研修会で、特別講演「災害時・避難所の衛生対策について」の講師をつとめました。

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。

・2022年、東京都特別区職員研修所、令和4年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「災害時の避難所の衛生・感染症対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。

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