環監・保健師のための防災【入門】応急仮設住宅の断熱性・換気を考える
【環監の視点】
応急仮設住宅の断熱性・換気
①寒冷地では、2枚窓が断熱性を高める。
②壁の外気取入口(給気口)の役割や使い方を、生活者のかたに説明するのが大切である。
2022(令和4)年5月上旬に、宮城県石巻市にある東日本大震災の復興関連施設・震災遺構等を訪れました。
訪れたのは、石巻南浜津波復興祈念公園、みやぎ東日本大震災津波伝承館、石巻市震災遺構・門脇小学校などです。
門脇小学校は、津波とともに延焼による火災が発生し、1階の校長室・職員室、2階の教室などが被害を受けました。
生徒や先生たちは、校舎後ろ側の高台へ避難しました。
教室には、焼け残った椅子の金属部分や、焼け落ちた黒板などが保存されています。
校長室の金庫に保管されていた卒業証書は、焼失を免れて、翌月に卒業生に手渡されました。
整備された体育館には、応急仮設住宅が再現されています。
単身用と家族用の2種類の間取りが、展示されていました。
私の目がいったのは、ガラス窓と、窓の下の外気取り入れ口(給気口)でした。
ガラス窓は、寒冷地の寒さの影響をやわらげるため、2枚窓になっています。窓と窓との間隔は、約10cmあります。空気層を大きくとって、断熱性を高めています。
2枚窓は、サッシュの複層ガラスより断熱性が高いといわれています。
窓の下の給気口は、換気の目的で、約15cm四方のプラスチック板がはめ込まれています。
給気口が開放されている場合、常に外気が入ってきて、冬には寒いかもしれません。
換気の度合いを調節するため、給気口の空気が入ってくる面積を大きくしたり小さくしたりできるタイプもあります。
寒暖の状況で、就寝時には給気口を絞るやり方が考えられます。
その際には、燃焼ガスが出る石油ストーブなど開放型暖房器具の使用は適していません。
一般的に、応急仮設住宅では、安全を考えて電気を使うエアコンやストーブのみが使われることが多いと思います。
こうした給気口の役割や使い方を、生活者のかたが知らないケースがあります。
【環監の視点】
応急仮設住宅の断熱性・換気
①寒冷地では、2枚窓が断熱性を高める。
②壁の外気取入口(給気口)の役割や使い方を、生活者のかたに説明するのが大切である。