【環監・保健師入門編】防災・長周期地震動と緊急地震速報の発表基準変更
【私の視点】
地震発生時にエレベーターに閉じ込められる事故を防止できるように、長周期地震動に連動したエレベーターの近階停止・扉開放のシステムができることを望みます。
2023(令和5)年1月中旬、第134回げんさいカフェ「温故知新で本気で地震対策を! 長周期地震動を中心に」(主催:名古屋大学減災連携研究センター、会場・オンライン)に参加しました。
講師は、福和伸夫さん(名古屋大学名誉教授)です。
企画・ファシリテータは、隈本邦彦 さん(江戸川大学教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)です。
隈本さんは、私にとって大学の同級生であり、NHKの科学文化部の記者を長年つとめました。
【私の理解した内容】
1 長周期地震動とは
・気象庁のホームページでは、長周期地震動を「大きな地震で生じる、周期(揺れが1往復するのにかかる時間)が長い大きな揺れのこと」と説明している。
2 長周期地震動の歴史
1995年
阪神・淡路大震災
約20km離れた大阪の超高層建物の上部が揺れた。
NHKが番組で取り上げた。
1階、29階、PH1階の揺れが記録された。
長周期地震動が初めて注目されたときだった。
2003年
十勝沖地震
苫小牧の製油所タンクの火災があった。
長周期地震動による石油の水面の揺れが原因だった。
2011年
3/4 建築学会で報告があった。
南海トラフ巨大地震によって、三大都市の高層建物は、設計時に想定した地震動よりも長い時間大きく揺れる可能性が高いと報告された。
3/11 東日本大震災の都内の23階ビルの15階会議室の映像は、大きく振り子のように揺れて見えた。
3 長周期地震動階級
・室内の状況は次のとおり
階級1
ブラインドなど吊り下げものが大きく揺れる。
階級2
キャスター付き器具類がわずかに動く。棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。
階級3
キャスター付き器具類が大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。
階級4
キャスター付き器具類が大きく動き、転倒するものがある。固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。
4 熊本地震の建物の揺れ
・熊本地震のように地表に近い断層がずれると、超高層ビルが揺れる。
5 新たな緊急地震速報(警報)(2023年 2/1~)
・発表基準に、長周期地震動階級が追加される。
・発表基準:震度5弱以上を予想した場合
+(または)
長周期地震動階級3以上を予想した場合
・対象地域:震度4以上を予想した地域
+(または)
長周期地震動階級3以上を予想した地域
6 エレベーターからの避難(福和氏の話)
・予め速報を聞き、エレベーターを近階停止・扉開放できれば、エレベーター外への避難が可能になる。
・いまのエレベーター停止システムは、P波(縦波)を検知して反応するので、長周期地震動に連動していない。
・今後、長周期地震動に連動して近階停止・扉開放するエレベーターの開発が望まれる。
【私の視点】
2011年3月11日、東日本大震災発生のとき、都内の28階ビルの8階にいた私は、建物が大きく揺れたのを思い出します。
エレベーターを吊る複数の金属製ロープの壁にぶつかる音が聞こえてきました。
船酔いのように気分をわるくしたひとを幾人か見かけました。
地震発生時にエレベーターに閉じ込められる事故を防止できるように、長周期地震動に連動したエレベーターの近階停止・扉開放のシステムができることを望みます。
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・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。
・2021年、東京都特別区職員研修所、令和3年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「新型コロナウイルスを踏まえた避難所の衛生対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。