環監・保健師のための防災【入門】訓練により、できないことが見える
【私の視点】
講師・伊藤氏の話からBCP「訓練」の大切さが伝わってきました。
訓練は、シミュレーションと重なります。
訓練・シミュレーションにより、できること、できないことが見えてきます。
2022(令和4)年9月中旬、オンライン防災グループ第41回講演会(主催:堀江俊佑さん)に参加しました。
講師は、伊藤享佑(いとう・きょうすけ)氏(株式会社HAF代表取締役)です。
内容は「元自衛隊員が提案する実践的なBCPとは」です。
全国から6人が参加しました。
案内チラシには、伊藤氏のコメントがあります。
「コロナの影響で多くの企業が事業を停止せざるを得ない状況を経験し、改めてBCPの重要性が高まってきています。
一方で、未だBCPの策定率は低く、中小企業の策定率は15%未満となっているなか、
今後BCPを策定する方は、ただの計画書で終わらせるのではなく、
現場で使える実行性の高いものを策定していただきたいです」
【私の理解した点】
伊藤氏のご講演で私が理解した点は、次のとおりです。
・BCP:事業を止めないで継続するための計画
Business Continuity Plan
・平常時に何をしておくか。
・災害時にどう行動するか。
・BCPは、事業継続のための手法、手段などをあらかじめ取り決めておく計画のこと。
・BCPのメリット
信用力の向上、販路開拓、IT活用
整理整頓、働き方改革、人材育成、事業承継
財務体質の強化
・経済産業大臣が認定する事業継続力強化計画
→低利融資、税制措置、補助金の優先採択など
・BCPの策定状況
2021年、大企業32%、中小企業14.7%
・BCP策定企業の平均復旧期間、約3倍復旧が早い
未実施:41日、実施済み:13日
・実行性の高いBCPにするためにタイムラインをつくる
・行動の明確化をする。何をするか。
・できるように訓練する。
できないことは、BCPから削除する。
・誰が何をできるのか、洗い出しておく。
主、サブと、3人の担当を決めておく。
◎行動のチェックシートの主な項目
・行動項目
・行動実施手順
・必要なもの
・担当者
・完了確認
【私の視点】
講師・伊藤氏の言葉からBCP「訓練」の大切さが伝わってきました。
訓練は、シミュレーションと重なります。
2022年1月に、私は、災害医療研修を受けたとき、病院施設の災害時の情報整理シミュレーション(DIAS)をトレーニングしました。
3人グループになり、災害発生時の病院施設の得た情報を整理・分析し、適切な対応に結びつけるものです。
クロノロジー(活動記録)では、カードに書かれて、読み上げられた情報をすべて書きます。
「時刻」「発信者」「受信者」「内容」の4つです。
<10:05 外出中の院長から 本部受け。帰院不可。対応依頼。院内の診療可か、状況確認を>
<13:48 栄養科から 本部受け。職員全員無事。備蓄食料は入院患者150名分の2日間分ならある。飲料水は、入院患者分の2日間分あり。その他に、500mLペットボトル300本がある>
書くのに、必死でした。
刻々と入る情報を、地図に書き込みます。
津波の範囲、道路の不通、火災発生など状況が視覚化され、判断しやすい状況になりました。
ところどころで、カードに書かれた問い合わせの回答を出します。
「今後も多数傷病者対応が予想されるが、○○病院は診療継続が可能か?」
→建物倒壊恐れがなく、診療継続可能。
「そして、今後診療を継続するうえで問題となることは何か?」
→ 断水のため、透析が不可。搬送希望。
シミュレーションや訓練により、できること、できないことが見えてくるように感じました。
【ご案内】
・環監業務の悩み、課題がありましたら、ご相談をお受けしています。
・課題の解決につながる講座をご用意しています。
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・保健師の皆様への研修のご相談、避難所の衛生対策活動等のご相談をお受けしています。
【実績】
・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。
・2021年、東京都特別区職員研修所、令和3年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「新型コロナウイルスを踏まえた避難所の衛生対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。