環監のためのレジオネラ症対策【入門】環監とレジオネラとの関わりの歴史

【私の視点】
1984(昭和59)年以降、私は、建築物衛生法に基づき年間20施設くらい、事務所や店舗、研修所などの立入検査で現場へ行きました。
当時、レジオネラ症対策の意識は、空調設備の冷却塔の冷却水にありました。
2003(平成15)年、前年の宮崎県日向市のサンパーク温泉での7人死亡事故を受けて、入浴施設のレジオネラ症対策に重点を置くようになりました。

第10回レジオネラ国際会議2022(横浜市)

2022(令和4)年9月中旬、横浜市で5日間、開催された第10回レジオネラ国際会議2022に出席しました。

会場のホールでは海外からを含めて約80人が参加し、オンラインでも国内外の参加がありました。

1日目の最初に、アメリカ・ペンシルバニア大学のPaul H.Edelstein氏からレジオネラ症の歴史のご講演がありました。

1976年の白黒のテレビニュースが流されました。
 
初めて見る映像です。
 
1976年7月に、アメリカ・フィラデルフィアのホテルで起きた集団肺炎感染事例が報道されています。

講演者の資料で、221人感染と数字が出ています。

ホテルは、在郷軍人会の集まりがあった場所です。
 
屋上の冷却塔の冷却水の汚染が原因といわれた集団肺炎感染は、レジオネラ症の起源となる事例として紹介されてきました。

ニュース映像では、プレス発表に多くのメディアが集まり、衝撃的な事故だったことが伺われます。

講演者は、レジオネラ症がその前にも見られたと報告しています。

1957年のミネソタで、1974年にフィラデルフィアで、その前年の1973年にはスペインのホテルでレジオネラ症と見られる事例があったとのことです。

【私の視点】

空調設備を感染源として知られるようになったレジオネラ症は、わが国でも空調設備へ注目が集まりました。

1981(昭和56)年に、東京都特別区の荒川区で保健所・環境衛生監視員になった私は、3年目に東京都から建築物衛生法の一部事務移管に伴い、ビル衛生検査の業務に携わるようになりました。

1984(昭和59)年に文京区へ所属が変わってから、年間20施設くらい、事務所や店舗、研修所などの建築物の立入検査で現場へ行きました。

当時、レジオネラ症対策の意識は、空調設備の冷却塔の冷却水にあったように記憶しています。

夏季であれば、月に1回程度の冷却塔の清掃実施を書類で点検し、冷却水の水の状態を目視で確認しました。

冷却塔に汚れの付着がないか、補給水のための水面のボールタップが正常に作動するかなどをチェックしていました。

2003(平成15)年、前年の宮崎県日向市のサンパーク温泉での7人死亡事故を受けて、入浴施設のレジオネラ症対策に重点を置くようになりました。

そのころ、東京都条例の改正を控えて、東京都の条例改正説明会に出席しました。

レジオネラ症対策のために、条例が大きく改正される内容でした。

例えば、浴槽水の遊離残留塩素濃度は、東京都独自の調査を基に、それまでの「0.1mg/L以上」が「0.4mg/L以上」と改正されました。

塩素消毒のターゲットが、大腸菌からレジオネラ属菌へ変わったのです。

私が、公衆浴場、高齢者施設等のレジオネラ症対策に重点的に取り組むようになったのは、それから6年後の2009(平成21)年です。

そのきっかけは、管内の公衆浴場のシャワー水を感染源としたレジオネラ症患者の発生でした。

【ご案内】

・環監業務の悩み、課題がありましたら、ご相談をお受けしています。

・課題の解決につながる講座をご用意しています。

・環監のための、レジオネラ症対策、防災、仕事術、講座情報など最新情報をメールで真っ先にお届けしますので、ご希望される場合、①所属、②担当者名、③メールアドレスを、「お問い合わせはこちら」までお送りください。

【実績】

・2021年、国立保健医療科学院、令和3年度・環境衛生監視指導研修で「現場での衛生監視指導の実際、公衆浴場のレジオネラ症対策」(オンライン)の講師をつとめました。

・2021年、高知県、令和3年度入浴施設におけるレジオネラ属菌汚染防止対策講習会・環境衛生監視員を対象とした現場研修会「循環式浴槽立入検査の実際について」の講師をつとめました。

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