デパートのための新型コロナ対策の視点

ポイントは二つ

① 天井の吹き出し口の風量

② 仕切りのパーティションの大きさ

デパートの地下食料品売り場の従業員のかたが多数、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したと報道がありました。

保健所・環境衛生監視員の視点から、デパートの食料品売り場を歩いてみました。実際に、感染の報道があったデパートと、それ以外の2店に行ってみました。

私が見る視点は、空気の流れ、とくに新鮮な外気を含んだ空気がどのように流れていて換気ができているかです。二つのポイントがあります。ひとつは、天井の吹き出し口から適切な風量の空気が送られているか。もうひとつは、従業員と利用客との間にある仕切りのパーティションです。

ひとつめを見ていきましょう。天井の吹き出し口から出る空気は、空調機からダクトで運ばれています。外気と室内からの戻りの空気を混ぜて、フィルターを通し冷却してからファンで室内へ送られます。

地下売り場の通路を歩いていて、吹き出し口から髪の毛がゆれるくらいに強烈に風が出るところがある半面、ほとんど風を感じないところがありました。この原因は、空調機からのダクトの距離が関係しています。近ければ風量が強く、離れたところでは弱くなる傾向があります。空調機械が老朽化して能力が下がると、この傾向が顕著になると考えられます。

したがって、フロアの場所によって、換気のための空気量に差があるのではないかと思ったのです。いわゆる、空気のよどみをつくる可能性があるのです。

ふたつめのパーティションは、デパートによる差が大きいと感じました。感染の経験をもつ店では、透明なビニールシートが、天井から約30cm、ショーケースやカウンター上部から15~30cmの空間を設けるほか、前面の8割くらいを覆う店舗を見かけました。店員は、フェイスシールドや防護めがねを着用していました。

一方、ほかの店では、品物とお金のやりとりをする最小限の、顔二つ分くらいの透明アクリル板が立つ光景を見ました。

空気の流れを考えたときには、パーティションは最小限が望ましいと考えます。なぜなら、空調機の吹き出し口から吸い込み口までの空気の流れを妨げないからです。パーティションで大きく覆ってしまうと、店員のいる内側に空気がこもりやすくなります。かりに、感染者がいれば、内側の空間でのリスクが高くなると考えました。

面積の大きなビニールシートを採用するときは、二酸化炭素濃度、温度、湿度、風量の測定をして、空気がよどむことがないかをチェックして使うといいと思います。

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