【環監・保健師入門編】レジオネラ症対策・シャワー水の採水方法

【私の視点】
シャワーの検査時採水の場合、通常、15~20秒放水をして、枝管にあたる部分の排水をしてから、採水しています。
菌検出時、患者発生時など詳細な調査の場合、ファーストフラッシュといわれる、レバーを倒して、すぐに放水されるシャワー水を採水することがあります。

シャワーヘッド(イメージ写真)

2023(令和5)年3月下旬、A自治体の保健所・環境衛生監視員対象のレジオネラ症対策研修会(会場開催)の講師をつとまめました。

保健所・環境衛生監視員や衛生研究所研究員のかた、15人の皆様が出席されました。

質疑応答、ディスカッションにより、レジオネラ症対策の知識・スキルの習得を図りました。

参加者のおひとりから「研修会で、長い時間、質問に丁寧に答えてくださり、大変学びの多い時間でした」と感想をいただきました。

ありがとうございます。うれしく思いました。

質疑応答の内容が濃く環監業務に役立つ内容ですので、2回に分けてご紹介します。

今回は、前回に引きつづき、その2をご紹介します。

【質問5】浴槽水、シャワー水の採水方法

採水時にはATP測定をした付近で採水しているが、浴槽内でおすすめの採水場所(滞留されやすそうな場所、亀裂等の凸凹があればその付近等の汚染されやすい場所)はあるか。

また、採水する湯の高さについて、レジオネラ属菌(剥がれたバイオフィルム?)は水に浮かびやすい等の特徴や患者は表層部のエアロゾルを肺に吸い込むため表層が良い等あるか。

回答

前回のATP検査の回答でふれたとおり、私の経験では、通常の検査の場合、浴槽の中央付近の手の届く範囲で、水面下15~20cmの湯を採水しています。

検査の目的によっては、湯の淀み箇所、ろ過戻り口付近、ろ過吸い込み口付近、オーバーフロー付近、水面付近などで検査するケースがあるでしょう。

採水者が、どこから採水したのかを把握して、検査結果を評価することが必要です。

シャワーの採水の場合、通常の場合、15~20秒放水をして、枝管にあたる部分の排水をしてから、採水をしています。

通常の採水は、できるかぎり、シャワーの湯がたまる貯湯槽や調節箱からいちばん離れている、配管の末端部分にあたる箇所でおこなっています。

菌検出時、患者発生時など詳細な調査の場合、ファーストフラッシュといわれる、レバーを倒して、すぐに放水されるシャワー水を採水することがあります。

いずれにしても、採水の目的をはっきりさせることが大切だと思います。

【質問6】水風呂のレジオネラ菌検出のリスク

かけ流しの水風呂で、温度20度未満の場合、レジオネラ増殖のリスクは低いと考えられるが、通常の浴槽と同様に監視し、管理を要求すべきか。

回答

ディスカッションの席で、水風呂から菌検出の経験があるかを出席者の皆様に尋ねたところ、手があがりました。

循環していない水風呂から検出があったとのことです。

原因を考えたとき、水風呂の原水槽について、10年以上清掃がされていないのが気になったとのことでした。

私の経験をお話しすると、公衆浴場で、浴槽水の地下水の原水槽の清掃を5年以上おこなっていなかった施設がありました。

清掃前に、断ってコンクリート製原水槽の内壁の拭き取り検査を実施しました。

その結果、レジオネラ属菌を増やす可能性のあるアメーバがみつかりました。

こうして考えると、水風呂であっても衛生監視指導の対象と位置づけ、衛生管理を怠らないことが大切だと思います。

国立感染症研究所の倉文明先生が、私の主宰する環監未来塾私塾でのご講演で「水風呂のリスク」について、次のようにお話になっています。

こちら https://kankan-mirai.com/1822/

【質問7】オゾン殺菌の実態

オゾン発生装置を使って浴槽水を消毒している施設は、どのくらいあるか。

どうやって、消毒の程度を把握するのか。試験紙等があるのか。

回答

厚生労働省の「公衆浴場における衛生等管理要領」では、浴槽水の消毒について、塩素系薬剤とともに、オゾン殺菌の消毒方法の記述があります。

オゾンに関係する要領内容の抜粋は、次のとおりです。

・オゾン殺菌、紫外線殺菌、銀イオン殺菌、光触媒などの消毒方法を採用する場合には、塩素消毒を併用する等適切な衛生措置を行うこと。

・オゾン殺菌による場合は、高濃度のオゾンが人体に有害であるため、活性炭による廃オゾンの処理を行うなど、浴槽水中にオゾンを含んだ気泡が存在しないようにすること。

入浴施設でのオゾン殺菌の使用実態が詳細に把握されていないこともあり、使用施設数や消毒の程度、試験紙など、正確にわからない点があります。

今後、保健所からの実態報告が出てくることを期待しています。

入浴施設以外のオゾンの利用については、次のとおりです。

東京都の浄水場でオゾン処理を使うケースでは、

ニオイ物質などの分解に利用しています。

私の見たプール施設は、プールの循環ろ過でオゾン処理を使い、水の透明度を上げている施設がありました。

この施設では、オゾン処理のあと、塩素剤を加えて、プール水中の遊離残留塩素濃度0.4mg/L以上を保っていました。

【質問8】源泉配管の消毒

飲用温泉水にレジオネラ属菌が検出された場合、源泉から注ぎ口までの間の配管をどのように消毒すればよいのか。

回答

温泉法の飲用利用基準にある、微生物学的衛生管理を調べたところ、検査項目と基準値は次のとおりです。

・一般細菌:集落数100/1mL 以下

・大腸菌群:検出されないこと

・全有機炭素(TOC):5mg/L 以下 

源泉を汲み上げて近距離に源泉槽がある場合、源泉槽で、60℃以上の温度管理、あるいは塩素殺菌などの措置が望ましいでしょう。

そうした措置がなく、たとえば、源泉が500m、1,000m超の送湯管で各施設まで運ばれる場合、送湯管の中の状態を定期的に確認できるといいですね。

しかし、源泉からの配管が地中ならば、配管中の状態を簡単に確認することはできません。

温泉の送湯管の管理については、ホームページ・お役立ち情報の別ページに記述があります。

こちら https://kankan-mirai.com/1950/

【私の視点】

シャワーの検査時採水の場合、通常、15~20秒放水をして、枝管にあたる部分の排水をしてから、採水しています。

通常の採水は、できるかぎり、シャワーの湯がたまる貯湯槽や調節箱からいちばん離れている、配管の末端部分にあたる箇所でおこなっています。

菌検出時、患者発生時など詳細な調査の場合、ファーストフラッシュといわれる、レバーを倒して、すぐに放水されるシャワー水を採水することがあります。

こうした採水方法は、シャワー水を感染源としたレジオネラ肺炎患者発生のあと、レジオネラ症対策に重点的に取り組み、試行錯誤して考えたものです。

レジオネラ症対策は、これまでの経験だけでは、すべてを解決できないケースがあります。

そのときは、保健所と施設とが協力して、衛生管理の実態とレジオネラ属菌の有無の把握・確認をしていくことが必要でしょう。

そのうえで、適切な衛生管理方法を確立していくことが大切です。

そのことが、入浴施設利用者の皆様の命・健康をまもることにつながっていると思います。

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【ご案内】

【講座】保健所・環境衛生監視員対象、レジオネラ症対策を現場で学ぶ、基本とスキル習得講座・実践編2日間コース(会場開催、公衆浴場施設の現場見学付)を開催します。

・環監業務の悩み、課題がありましたら、ご相談をお受けしています。

・課題の解決につながる講座をご用意しています。

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【実績】

・2022年、厚生労働省のレジオネラ対策のページに掲載される「入浴施設の衛生管理の手引き(令和4年5月13日)」の作成ワーキンググループのメンバーに、国立感染症研究所・倉文明先生らと共になっています。

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度・環境衛生監視指導研修で「環境衛生監視指導の実際、公衆浴場のレジオネラ症対策」(オンライン)の講師をつとめました。

・2021年、高知県、令和3年度入浴施設におけるレジオネラ属菌汚染防止対策講習会・環境衛生監視員を対象とした現場研修会「循環式浴槽立入検査の実際について」の講師をつとめました。

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