【環監・保健師入門編】レジオネラ症対策・石の使用と衛生管理

【私の視点】
健康目的等の「○○石」を使用した浴槽水の衛生管理の一案は、スペアの石を用意して、週に1回、洗浄殺菌済みの石と交換することです。
使用済みの石は、一例として、ブラシ類を使うこすり洗い(ブラッシング)のあと、5~10mg/L程度の遊離残留塩素濃度の液に1時間浸け、そのあと水洗いして乾燥させるといいでしょう。

浴槽水の循環系統に置かれた石

2023年2月中旬、A自治体のレジオネラ症対策講習会の講師をつとめました。

対象は、公衆浴場、旅館、ホテルなど主に循環ろ過入浴施設でした。

営業者、設備担当者など約40人のかたが出席しました。

1時間15分の講演後に、出席者の皆様からご質問が複数ありました。

公衆浴場等のレジオネラ症対策に役立つ内容ですので、ご紹介したいと思います。

【質疑応答】

【質問1】石の衛生管理

健康にいいと言われる石を、浴槽内の網かごに入れている。衛生管理をどのようにしたらいのか。日頃は、業者まかせにしている。換水は、7日に1回実施している。

【回答】

まず、石がどのような状態かを確認してはどうでしょうか。石の表面を手でふれて、ぬめりが着いているのかを確認するのです。

多孔質な石は、表面の細かい凹凸により、生物膜(バイオフィルム)ができやすいといわれています。

衛生管理の一案としては、スペアの石を用意して、週に1回、洗浄殺菌済みの石と交換することです。

使用済みの石は、一例として、ブラシ類を使うこすり洗い(ブラッシング)のあと、5~10mg/L程度の遊離残留塩素濃度の液に1時間つけ、そのあと水洗いして乾燥させるといいでしょう。

【質問2】石の衛生管理

石に関連して、使用済みの石を乾燥させてから洗浄するのがいいのか、洗浄してから乾燥させるのがいいのか。

【回答】

洗浄殺菌してから乾燥させるのがいいでしょう。

使用済みの石を、そのまま乾燥させても、レジオネラ属菌が死滅するわけではありません。

汚れを付着させたままの状態で乾燥させると、そのあとの作業で汚れが落ちにくくなる可能性があります。

以前、浴場店主から、「掃除で人の脂がいちばん落としにくい。だから、営業が終了したらすぐに夜中に掃除をしているんだ」と聞いたことがあります。

乾燥は、洗浄殺菌後にすれば、菌の増殖を抑えることにつながります。

【質問3】浴槽水の塩素消毒

インターネット上の情報で、浴槽水の塩素消毒が0.2~0.4mg/L以上となっているのは正しいか。

【回答】

現在では、0.4mg/L程度以上となっています。

【質問4】ろ過器の常時作動

営業外の時間も、循環ろ過の場合、機械を稼働させて循環させなくてはいけないのか。

【回答】

国の「公衆浴場における衛生等管理要領」に、こう書かれています。

「浴槽に湯水がある時は、ろ過器及び消毒装置を常に作動させること」

滞留水をつくらないことで、レジオネラ属菌の発生・増殖を抑えるのが目的です。

管理要領の内容は、衛生上望ましい基準として書かれた部分もあります。条例で規定しているかは、自治体により異なります。

すなわち、条例上、義務づけをしている自治体もあれば、規定していない自治体もあるのです。

まず条例を確認するのがいいでしょう。

【質問5】温泉の送湯管の管理

温泉施設で、源泉から2kmの距離、温泉を管で送ってもらっている。地下に埋設された温泉を送る配管は、昭和40年代に敷設されたもので、管の中がどうなっているのか心配だ。

【回答】

源泉槽の60℃以上の温度管理、源泉槽の消毒剤使用など、レジオネラ症対策が行われているかにもよります。

そうした対応がされていない場合、長期の使用、温泉成分状況、湯温状況で、あるいは配管に温泉水が滞留する時間帯があれば、管の内側に付着物、微生物の堆積の可能性があります。

管の中の状態を確認するには、サンプリングとして、管の一部を切り取り、内部を調べるのが一つの方法です。

望ましいのは、温泉を送る長距離の配管を、維持管理がしやすい地上の露出型にすることです。

配管はさや管タイプで、たとえば、15~20年に1回、内側の送湯管を交換する維持管理方法が望ましいと思います。

【質問6】遊離残留塩素濃度の上限

浴槽水の遊離残留塩素消毒について、濃度が0.4mg/L程度以上、1.0mg/L以下となっている。1.0mg/Lを超えてはいけないのか。

【回答】

0.4mg/L程度以上は、レジオネラ症対策としての濃度になります。

一方、1.0mg/L以下は、おもに皮膚への刺激など健康被害を考慮したものです。

この数値を一時的に多少の範囲、たとえば、0.1~0.2mg/L超えたとしても、すぐに不適とは言いきれないでしょう。

【質問7】配管の高濃度塩素消毒

配管の高濃度塩素消毒を週に1回やれば、菌は死ぬのか。

【回答】

生物膜(バイオフィルム)が堆積していれば、完全に殺菌することは難しいでしょう。

配管内側に生物膜が厚く堆積していると、膜の内側深くまで殺菌することが難しくなります。

年に1回以上の配管洗浄を実施してリセットしたあとに、定期的に高濃度塩素消毒をすることが、生物膜の発生抑止に大きな意味があると思います。

【私の視点】

◎石の使用

石の使用が多施設でされていることが推測されました。

自著『レジオネラ症対策のてびき』倉文明氏監修(一般財団法人日本環境衛生センター、税抜500円)のP74に、「石の使用」による菌検出例と対応を書いています。

浴槽水の循環系統に置かれた石

多孔質な石の望ましい管理は、2~3日に1回、石をブラシで清掃して消毒剤の塩素剤につけることです。

現実的に、7日に1回の浴槽水の換水に合わせての衛生管理を考えてみましょう。

健康目的等の「○○石」を使用した浴槽水の衛生管理の一案は、スペアの石を用意して、週に1回、洗浄殺菌済みの石と交換することです。

使用済みの石を、一例として、ブラシ類を使うこすり洗い(ブラッシング)のあと、5~10mg/L程度の遊離残留塩素濃度の液に1時間浸け、そのあと水洗いして乾燥させるといいでしょう。

石の表面が漂白される可能性がありますので、塩素剤に浸けたあと、水洗いをします。

◎ろ過器の常時作動

国の「公衆浴場における衛生等管理要領」の抜粋を、再掲します。

「浴槽に湯水がある時は、ろ過器及び消毒装置を常に作動させること」

通年営業の室内プールと同じように、浴槽に湯水があるときには、24時間ろ過器を運転することになります。

滞留水をつくらないのがレジオネラ症対策で重要な点である一方、営業者の負担を考えてしまいました。

作動中の電気代、消費消毒剤の費用などの経費を考えると、現在の電気代や物価の高騰を踏まえて、経営に大きく影響する可能性があります。

施設に寄り添う形として、営業時間外の作動による費用に対する行政の補助金等の支援の考え方もあると思いました。

実際に私は、レジオネラ症対策の観点で、シャワー水をつくる調節箱に自動塩素注入装置を新規設置する際の補助金制度をつくり、上限15万円の行政支援を実現しました。

詳細は、『レジオネラ症対策のてびき』P105でご説明しています。

この補助金の支援もあり、管内の普通公衆浴場(銭湯)の全施設に自動塩素注入装置がついたのです。

このほか、私の考えた点として、「週1回、1~2時間の配管の高濃度塩素消毒で、リスクを下げることができないのか」「1日の営業終了後に、配管中の湯を高めの塩素濃度にしてから、作動を止める方法で効果を期待できないか」などがありました。

いずれにしても、利用者の健康を守ることを第一に考えながら、施設に寄り添い、論理的な整合性のある適切な方法を見つけることが大切だと感じました。

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【実績】

・2022年、厚生労働省のレジオネラ対策のページに掲載される「入浴施設の衛生管理の手引き(令和4年5月13日)」の作成ワーキンググループのメンバーに、国立感染症研究所・倉文明先生らと共になっています。

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度・環境衛生監視指導研修で「環境衛生監視指導の実際、公衆浴場のレジオネラ症対策」(オンライン)の講師をつとめました。

・2021年、高知県、令和3年度入浴施設におけるレジオネラ属菌汚染防止対策講習会・環境衛生監視員を対象とした現場研修会「循環式浴槽立入検査の実際について」の講師をつとめました。

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