環監・保健師のためのレジオネラ症対策【入門】記述疫学3要素からみたレジオネラ症

【私の視点】
記述疫学3要素からみたレジオネラ症
①人:男性に感染者が多い。
②場所:わかっている感染源として、入浴施設での感染事例が多い。
③時:1年のうち、報告数で高温多湿の7月が多い。ただし、患者発生は1年中可能性がある。

温泉の浴槽(イメージ写真)

2022(令和4)11月中旬、かながわ疫学勉強会(事務局、小池剛氏)のオンライン勉強会「疫学情報の活用」に参加しました。

全国から、保健師、食品衛生監視員、環境衛生監視員など27人が参加しました。

講師は、国立感染症研究所感染症疫学センター第4室の高橋琢理(たかはし・たくり)氏です。

【講演で私が理解した内容】

・疫学データ:サーベランスデータを主

・サーベイランス:
 継続的、系統的なデータ収集・分析・評価、データの蓄積
 対策部門への、対応のための情報提供

・サーベイ:調査:一時的。継続的でなくてもいい

・記述疫学の重要性(記すもの)
 人、場所、時

・集団における疾病分布の特徴
 人、場所、時間

・記述疫学、主な記述要因

①人、だれ
 性別、年齢など

②場所、どこで
 地域別に観察する

③時、いつ
 時間的傾向、集中発生、周期的変化などの観察

・IDWR(感染症週報)2022年第42号から

例として<注目すべき感染症>梅毒(細菌感染)を見る。

①時:2021年以降再度増加に転じている。

  傾向、水準→高い水準

  時系列変化:年別報告数の棒グラフ:右肩上がり

②人:2022年、男性6704例、女性3436例

   昨年同期間(男性4006例、女性2025例)の約1.7倍増加
  
   年齢:男性:20~54歳の幅広い年齢群
      女性:20代に多く報告
         最も多い年齢群20~24歳

③場所:都道府県別
  
 東京都2880例、大阪府1366例、・・・

 10万人あたり
  東京都、大阪府、広島県、熊本県

 性風俗産業利用歴
  男性921例、40%利用歴
  女性490例、40%従事歴あり

◎まとめ

 2021年ふたたび増加

 東京都、大阪府が特に多い。全国報告

 男女の異性間性的接触報告数増加

 増加を懸念

◎記述疫学を丁寧にするのが大切

高橋講師からの紹介・参考図書『はじめて学ぶやさしい疫学』(日本疫学会監修、南江堂)

◎情報のまとめ方の例

 IASR:月1回、公衆衛生情報誌(国立感染症研究所)
 2400文字

・IASR原稿の書き方

 データを集める:事例

 500文字で結果を書く:記述疫学から

 100文字で考察を記述する
  結果から導かれることのみを記載する

 300文字で公衆衛生対応を記述する

 500文字で方法を書く
  時、人、場所:症例定義

 100~150文字で、「はじめに」を書く

 100文字で、「おわりに(まとめ)」を書く

【私の視点】

◎レジオネラ症に関係して、記述疫学をあてはめて考えてみました。

①人:
男性に感染者が多い。私の患者聞き取り調査例では、50代以上の基礎疾患のある男性が多い傾向がありました。

②場所:
わかっている感染源として、入浴施設での感染事例が多い。

③時:
1年のうち、報告数で高温多湿の7月が多い。ただし、患者発生は1年中可能性がある。

◎事例を報告として残すことは、大きな意味があると思います。

・IASRは、国立感染症研究所から月1回発行されている病原微生物検出情報です。

・これまで私は、IASRに報告を3つ掲載させていただきました。

「シャワー水を感染源としたレジオネラ症例について」

「入浴施設のシャワー水のレジオネラ汚染状況」

「令和元年台風19号被災地の泥から検出されたレジオネラ属菌について」

そのうち「令和元年台風19号被災地の泥から検出されたレジオネラ属菌について」が、2022年9月に横浜で開催された「レジオネラ国際会議」で日本の検出例の一つとして紹介されました。

IASRが、日頃から研究者の検索などで、注目されていることを感じました。

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【実績】

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度・環境衛生監視指導研修で「環境衛生監視指導の実際、公衆浴場のレジオネラ症対策」(オンライン)の講師をつとめました。

・2021年、高知県、令和3年度入浴施設におけるレジオネラ属菌汚染防止対策講習会・環境衛生監視員を対象とした現場研修会「循環式浴槽立入検査の実際について」の講師をつとめました。

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