環監・保健師のための防災【入門】避難所開設の基本

【私の視点】
◎体験してわかったこと
・段ボールベッド
床面から約35cmの高さは、床面からの冷えを抑えるだけでなく、ウイルス飛沫を含んだ床面の埃を吸い込みにくくしています。
・災害用仮設トイレ
便器わきに消毒用エタノールが用意されていれば、トイレットペーパーに浸み込ませて便座を殺菌することができます。

段ボールベッドの高さは床面からの飛沫を含んだ埃を吸い込みにくくしている

2022(令和4)年11月中旬、A自治体の避難所開設・運営訓練を見学しました。

訓練場所は、指定避難所となっている小学校です。

参加者は、地元の自主防災組織のみなさん約50人です。

約2時間の訓練は、次の順で進みました。

①開設キット

避難所に真っ先に到着した人たちが、1階玄関脇の主事室にある開設キットを開けます。

開設キットには、「本部の立ち上げ」作業チェックリスト、「避難者の受け入れ」作業チェックリストなどが入っています。

②段ボール間仕切り、段ボールベッド

間仕切り、ベッドは、ジャバラ型(アコーディオン型)のパーツを組み合わせてつくります。

訓練実施の避難所に、段ボールベッドが20人分備蓄されています。

間仕切りは、新型コロナウイルスの感染防止を目的に、ベッドに座り咳をしたとき、飛沫が隣のスペースへ行かないように、高さが約140cmあります。

③仮設トイレの組立、マンホールトイレの準備

金属製のパイプを組み合わせると、仮設トイレが完成します。

訓練実施の避難所には、屋外に災害時トイレ使用のための四角のマンホールが1個ありました。

マンホールの蓋を開け、その上に仮設トイレ、トイレを覆う上屋を設置して、マンホールトイレが完成します。

マンホール下は下水管へつながっています。

トイレ近くの手押し井戸ポンプの排水マスの金属製堰を持ち上げると、水がいっきに流れ、排泄物を下水管へ流すしくみです。

④応急給水栓設置

水道本管から分岐した、避難所敷地内の仕切弁を開けたあと、応急給水用のマンホール下の管にスタンド給水栓を取り付けます。

給水栓の横の弁を開けると、水圧がかかり、水栓から水が供給されるようになります。

⑤校内1階備蓄倉庫

災害用トイレ、飲料水、毛布などの備蓄品が段ボールに入れられ、保管されています。

飲料水等は、3日分の備蓄がされています。

【私の視点】

◎体験してわかったこと

・段ボールベッド

組立パーツは、ジャバラ型(アコーディオン型)になっています。

組立後、ベッドからの立ち上がりを試してみました。

ベッド横からの立ち上がりはベッドが安定している一方、ベッド頭からの立ち上がりのとき、ベッドの歪み・揺れを感じました。

床面から約35cmの高さは、床面からの冷えを抑えるだけでなく、ウイルス飛沫を含んだ埃を吸い込みにくくしています。

・仮設トイレの上屋

内部が見えないように組み立てた上屋は、下部を地面に留めるようになっています。

強風が吹いたとき、大きく揺れて歪みが生じました。

強風が続くと、倒れる可能性を感じました。

上部をしっかりロープで固定する必要があるように感じました。

また、夜間の内部照明が必要だと思います。

さらに、内部照明をつけたとき、影絵のようにシルエットが見えないかも確認するとよいと思いました。

「トイレ便器に座るとき、汚れていないのかしら」と声を聞きました。

便器わきに消毒用エタノールが用意されていれば、トイレットペーパーに浸み込ませて便座を殺菌することができます。

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【実績】

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。

・2021年、東京都特別区職員研修所、令和3年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「新型コロナウイルスを踏まえた避難所の衛生対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。

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