環監・保健師のための防災【入門】避難所・避難生活の生活環境等の改善
【環監の視点】
避難所・避難生活の生活環境等の改善
・避難所室内で1日2回程度、温度、湿度、二酸化炭素濃度等の測定をする。
・高さ35㎝程度の簡易ベッドの使用を検討する。
2022(令和4)年5月中旬、第66回トイレラボ勉強会『災害時における避難所の生活環境対策』(主催:日本トイレ研究所、オンライン)に参加しました。
約40人のかたが参加しました。
報告者は、伊藤 靖晃氏(内閣府 政策統括官(防災担当)付 参事官(避難生活担当)付 参事官補佐(避難所担当))です。
報告のなかで、今年4月に改定された『避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針』『避難所運営ガイドライン』『避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン』の内容が説明されました。
改定の背景には、新型コロナウイルス感染症への対策、避難所の生活環境等の改善、防災機能設備等の確保、立地状況を踏まえた適切な開設、女性の視点を踏まえた避難所運営など、様々な対応が必要になっていることがあります。
取組指針では、次のとおり記述があります。
「被災者の避難所における生活環境の整備のため、優先順位を考慮して、必要に応じ、次の設備や備品を整備するとともに、
被災者に対する男女別のトイレ・更衣室・洗濯干し場・授乳室・休養スペースの設置等によるプライバシーの確保、暑さ寒さ対策、入浴及び洗濯の機会確保の他、子どもの遊びや学習のためのスペースの確保等、
生活環境の改善対策を講じること」
設備や備品が挙げられています。
ア 畳、マット、カーペット、段ボールベッド等の簡易ベッド
イ 間仕切り用パーティション
ウ 冷暖房機器
エ 洗濯機・乾燥機、洗濯干し場
オ 仮設風呂・シャワー
カ テレビ・ラジオ
キ 簡易台所、調理用品
ク その他必要な設備・備品
避難所運営ガイドラインでは、「寝床の改善」の項目があります。
エコノミークラス症候群を引き起こす血栓の発生の予防と、埃等を吸い込んでアレルギーや喘息等が悪化することを防ぐために、継続的な避難者には段ボールベッド等の簡易ベッドの確保を目指すとされています。
避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインでは、災害時のトイレの個数が目安で示されています。
・災害発生当初、避難者約50人あたり1基
・避難が長期化する場合、約20人あたり1基
【環監の視点】
避難所・避難生活の生活環境等の改善
・空気環境の実態、換気の状況を把握するため、避難所室内で1日2回程度、温度、湿度、二酸化炭素濃度等の測定をする。
暑さ寒さ対策では、空気環境の実態を知ることが大切です。
温度は、次の値が目安になります。
夏:25~28℃
冬:18~22℃
新型コロナウイルス対策で、換気の状況をみる二酸化炭素濃度は、建築物衛生法の空気環境基準の1,000ppm以下を目安にします。
夏の熱中症対策で外の熱気を入れないため、冬の風邪・インフルエンザ対策で外の冷気を入れないため、1,500ppm以下を目安にしてもいいと思います。
1,500ppm以下は、学校環境衛生基準の望ましい数値です。
・高さ35㎝程度の簡易ベッドの使用を検討する。
床面からの埃等の吸い込みを防ぐだけではなく、床からの冷えを防ぐことができると考えられます。
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