【注意】冬季の地震断水時の避難所・避難生活の衛生・感染症対策(その3)

【車中避難(車中泊)の注意点】
車中泊で一酸化炭素中毒に注意
止まってエンジンをかけたままにしない場所
①ガレージ内
②雪の中
③閉鎖空間

車中避難(車中泊)の注意点(チラシ版)

上の画像をクリックすると、pdfが開き、印刷可能です。ご活用ください。

車中避難(車中泊)の様子(イメージ写真)

元文京区文京保健所・環境衛生監視員で、『災害時・避難所の衛生対策のてびき』著、避難所衛生対策・レジオネラ症対策の研修講師をしている「オフィス環監未来塾」中臣昌広です。

地震の地域の皆様へお見舞い申しあげます。

次のとおり、冬季の地震断水時の避難所・避難生活の衛生・感染症対策の注意点(その3)を、これまでの被災地での避難所衛生対策活動の経験を基に、保健所・環境衛生監視員の視点でまとめています。

お役立てください。

1 車中泊と健康被害

(1)一酸化炭素中毒に注意

止まってエンジンをかけたままにしない場所
①ガレージ内
②雪の中
③閉鎖空間

NHKネットニュースで、2022(令和4)年12月20日、新潟県内で雪に埋もれた車中で女性が死亡、死因は一酸化炭素中毒の記事を見ました。

『災害時・避難所の衛生対策てびき』中臣昌広著・根本昌宏監修(一般財団法人日本環境衛生センター、税込1,500円)のなかで、車中泊について、私はこう記述しています。

< 冷房・暖房のためにエアコンをつけるには、エンジンをかける必要がある。

アイドリングと同じ状態だ。

注意するのは、アイドリングの際に排ガスに含まれる一酸化炭素である。

冬季には、雪でマフラーが埋まったり、寒さを避けるためにガレージ内でエンジンをかけたままにしたりすると、急速に一酸化炭素が車内に充満し死亡事故が発生するので、最大限の注意が必要である。 >

保健所・環境衛生監視員として私は、建築物衛生法に基づくビル衛生監査の経験があります。

駐車場付近の空気環境測定で、車のアイドリングの影響から一酸化炭素濃度がすぐに、0.1ppmから10~20ppmに上昇したのを覚えています。

それだけ、急速に排ガスの影響があるので、注意が必要です。

別ページに、車中泊のほか、災害時の一酸化炭素中毒の注意点をまとめています。
こちら https://kankan-mirai.com/3198/

※ 災害時の衛生対策、避難所・避難生活の衛生対策のご質問、ご相談など、お気軽にお問い合わせください

(2)注意すべき健康被害

①低体温症

窓ガラス1枚を隔てるだけの車内は、外気温の影響を受けやすくなります。

窓部分をシート類や断熱シートなどで覆うのが一案です。

重ね着だけではなく、体の保温のために、コート類の下に、新聞紙を体に巻く方法があります。

※ 避難所・避難生活学会は、令和6年能登半島地震の避難者の方へ、車中泊はエンジンを止めると車内の温度が急激に低下するので、特別な装備がなければ避難所に移動してくださいと呼びかけています。

②エコノミークラス症候群

予防の方法は、次のとおりです。

・水分をとる

・定期的な運動をする

・弾性ストッキング、着圧ソックスを利用する

・車の中で寝る姿勢を工夫する

エコノミークラス症候群予防の運動例(厚生労働省資料)は、次のとおりです。

※ 災害時の衛生対策、避難所・避難生活の衛生対策のご質問、ご相談など、お気軽にお問い合わせください

2 車中泊での避難用品の一例

①携帯電話、スマホ(非常連絡用)

②水(脱水予防)

③弾性ストッキング、着圧ソックス(エコノミークラス症候群予防)

④寝具、寝袋

⑤バスタオル(車内シートの凹凸解消)

⑥ウインドーネット(目隠し、日よけ用)

⑦断熱シート(車内の低温防止)

⑧すべての窓を隠す暗幕カーテン類(プライバシー、安眠用)

3 車中泊の注意点

①トイレ対策(携帯トイレ等の用意)

②エコノミークラス症候群を予防する(水分補給、体操など)

③エンジンをかけっぱなしにしない(排ガスによる一酸化炭素中毒に注意、囲われた場所に駐車しない)

④座席をフラットにする(睡眠時)

⑤人気のない場所を避ける(防犯上)

⑥傾斜地に駐車するとき、ストッパー等を置く

⑦近隣の店を把握する

⑧マナーを守る(駐車ルール、まわりに迷惑をかけない)

⑨寒さ対策(冬、毛布、寝袋等)

※ 避難所のアセスメントについて、『災害時・避難所の衛生対策てびき』中臣昌広著・根本昌宏監修(一般財団法人日本環境衛生センター、税込1,500円)P165~P172にチェックリスト一覧表があります。こちらからご覧いただけます。現場でお使いください。

チェックリスト一覧表

画像をクリックすると、pdfが開きます。

【ご案内】

災害時の衛生対策、避難所・避難生活の衛生対策のご質問、ご相談など、お気軽にお問い合わせください

災害時の衛生対策、避難所・避難生活の衛生対策の講師ご依頼につきまして、お気軽にお問い合わせください

『災害時・避難所の衛生対策のてびき』ご購入をお考えのかたは、こちらから注文ができます。

【実績】

・2011年、東日本大震災被災地で地元自治体に協力して避難所衛生対策活動、その後、2016年に熊本地震、2018年に西日本豪雨、2019年に令和元年台風19号被災地でも地元自治体に協力して避難所衛生対策で活動しました。

・2023年、令和5年度 兵庫県・北播丹波ブロック市町保健師協議会・研修会で、「災害時の避難所の衛生、感染症対策」の講師をつとめました。

・2023年、第54回 沖縄県衛生監視員研究発表会及び研修会で、特別講演「災害時・避難所の衛生対策について」の講師をつとめました。

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。

・2022年、東京都特別区職員研修所、令和4年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「災害時の避難所の衛生・感染症対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。

Follow me!