防災シンポジウム「防災教育の最前線、誰一人取り残さない社会へ」(オンライン)に参加しました。

「防災を通して学ぶ」
「防災教育は、助かるためではなく、
助けるためにある」
という趣旨の言葉が印象的でした。

東日本大震災の大規模避難所
 2500人以上が避難した「ビッグパレットふくしま」(福島県郡山市)

2022(令和4)年3月上旬、防災シンポジウム「防災教育の最前線、誰一人取り残さない社会へ」(オンライン、主催:福島大学うつくしまふくしま未来支援センター)に参加しました。

全国から、youtube視聴で約90人が参加しました。

①基調講演1
「みんなで助かるための防災教育」
 矢守克也氏
 京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授

②基調講演2
「東日本大震災の教訓を活かす、防災教育教材さすけなぶるの可能性と課題」
 天野和彦氏
 福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任教授さすけなぶる研究会主宰

③パネルディスカッション
「防災教育の最前線、誰一人取り残さない社会へ」
パネリスト
 上島安裕氏
  ピースボート災害支援センター理事・事務局長
 大槻知史氏
  高知大学地域協働学部/防災推進センター准教授
 齋藤朝子氏
  埼玉県日高特別支援学校、小学部教諭
 本多 環氏
  福島大学うつくしまふくしま未来支援センター
  特任教授
 矢守克也氏
  京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授
モデレーター
 天野和彦氏
  福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任教授さすけなぶる研究会主宰

詳しい内容は、次のとおりです。

①基調講演1
「みんなで助かるための防災教育」
 矢守克也氏
 京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授

◎みんなで助かるための実践的訓練

印象的だったのは、次の言葉でした。
「避難行動要支援者は、訓練でも取り残されやすい人になりうる」

南海トラフ地震で津波被害が想定される地域に住む、92歳の1人暮らしの女性の、屋内からの避難訓練の動画が流れました。
自分でベッドから起きて、玄関まで出る映像です。

玄関先まで出ると、
中学生たちが避難の支援をします。
車椅子やシルバーカーを使い、津波避難タワーへ向かいます。
「私たちがお手伝いしますから、一度訓練に出てみてください」
の声かけが、訓練の基になっています。

一人も取り残さないための
実践的な取り組みを知りました。

◎学びの場で

小学生、中学生のメッセージが紹介されました。

「未来へのメモワールとは」
「あなたの大切なものは何ですか?」
「災害から守りたいものは何ですか?」

女子中学生が、
「家にあるピアノが宝物です。
 ピアノは人を元気づけることができるので、
 地震が来ても、弾き続けるのが私の夢です。
 そのピアノを地震から守るために、
 倒れないように固定しました。
 ピアノ以外にも、大事なものを守るために
 生きることを精一杯したいです」

身近で大切な人、物に目を向けて
考えていくことが、
行動のいちばんの源になると感じました。

②基調講演2
「東日本大震災の教訓を活かす、防災教育教材さすけなぶるの可能性と課題」
 天野和彦氏
 福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任教授さすけなぶる研究会主宰

◎避難所運営学習ツール「さすけなぶる」
 
・なぜ生まれたか
 東日本大震災の大規模避難所
 2500人以上避難の「ビッグパレットふくしま」
 の経験から、
 地震や津波から助かった命、そのあとに、
 亡くならくてもいい「いのち」を一人でも
 救いたいという思いからです。

・「さすけなぶる」は、
 福島弁「さすけねえ」(大丈夫だ。問題ない)と、
 英語「sustainable」(持続可能な)を合わせた造語です。

・モノの防災から考え方の防災へ
 意識の変化が大切です。

・リーダー像は、指導者から環境整備者
(合理的・協働的)へあるべき姿が変化しています。

◎避難所の実態

ア:混沌期
・避難経路図作成
・いのちを守る名簿づくり
 だれが、どこで、何を課題として
 どのように過ごしているか。

イ:生活基盤期
・運営側の体制の再構築
  情報の共有
  組織の見直しと改変

ウ:自治萌芽・形成期
・エリアごとの自治会
・夏祭り:例:相馬盆歌(浜通り)
・プライバシー

◎避難所運営における視点
・住民に寄り添う視点
・被災者の生命と尊厳を守る「人間的な避難所運営」

備えるのは物というのが、これまででした。
災害時の避難所運営を想定して、
何の問題が起こり得るかを考えて、
どう解決するかを話し合う。
問題解決の取り組み方、考え方を
事前に体験することが、大きな力になると感じます。
まさに、「考え方の防災」へのチェンジだと思います。

③パネルディスカッション
「防災教育の最前線、誰一人取り残さない社会へ」

矢守氏の、「防災を通して学ぶ」
「防災教育は、助かるためではなく、
助けるためにある」
という趣旨の言葉が印象的でした。

支援を経験することで、
自分の身を考えることに
つながっていくのではないかと
感じました。

パネリストの報告にあったような、
それぞれの防災教育の場で、
参加者が何を学ぶかが大切だと
思いました。

本多氏から
防災リーダー育成プログラムの
避難所運営ラーニングに
参加した高校生の感想が紹介されました。

「くやしかったです。自分が知らなかったり、あとからこうすればよかったと思ったり」
「知識だけでは対応できなかった。臨機応変に対応できる力がないといけない」

防災を通して、学んでいるのが
伝わってきました。

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