国立保健医療科学院で環境衛生監視員研修の「レジオネラ症対策」の講師をつとめました

質問:ATP検査の値の評価について

回答:
私は、ATP検査の値を直接、
レジオネラ属菌の発生と結びつけていません。
浴槽水の汚れの度合いをみる目的で使い、
例えば数値が100~200・RLUを超える場合、
換水したあとの日数の経過、ろ過器の能力不足、
ろ材やヘアキャッチャーへの微生物膜の付着、
原水の汚染などを考えます。

レジオネラ症対策の講演光景

2021(令和3)年11月上旬に、
国立保健医療科学院で環境衛生監視員研修の
講師をつとめました。

科学院の建物からオンライン講義をし、
受講生は職場や自宅で受講する形でした。

体験型・参加型のオンライン・ワークショップで、
全国の保健所・環境衛生監視員26人が参加しました。

テーマは、二つ、
「レジオネラ症対策の現場」
「指導・助言を生かすコミュニケーション・スキル基礎編」です。

レジオネラ症対策の講義では、
現場の公衆浴場で撮影した浴槽の構造、循環処理の流れ、
水質検査の方法などを動画で映しながら、説明をしました。

途中、映像を見て、
レジオネラ属菌発生のリスクの箇所がどこにあるかを、
個人ワーク、グループワークで考えていただきました。

講義のなかでの質疑応答をご紹介します。

質問1:ATP検査の値の評価について

回答:

私は、ATPの値を直接、
レジオネラ属菌の発生と結びつけていません。
浴槽水の汚れの度合いをみる目的で使い、
例えば数値が100~200・RLUを超える場合、換
水したあとの日数の経過、ろ過器の能力不足、
ろ材やヘアキャッチャーへの微生物膜の付着、
原水の汚染などを考えます。
値が高いかどうかは、
その浴槽水の通常の値を押さえておくことが大切です。
ちなみに、清浄な水道水や地下水のATP値は、
経験的に5~20・RLUです。

質問2:吊り下げ容器の管理について

回答:

吊り下げ容器は、
循環ろ過をしていない浴槽で用いられることがあります。
高齢者施設の個浴の浴槽でも多く見かけました。
固形の塩素剤を入れる、吊り下げ容器を使用する場合、
塩素剤の溶け具合で安定的な濃度の保持の難しいケースがあります。
衛生管理の点で、容器を定期的に洗浄し、
ひもの部分を定期的に交換するとよいでしょう。

質問3:調節箱の構造について

回答:

調節箱は、主に東京の銭湯で使われている、
シャワー水や蛇口(カラン)の湯をつくる金属製の箱です。
例えば、釜で沸かした湯と地下水とを調節箱で混ぜて、
40~50℃の湯をつくります。
参考までに、
調節箱の仕組み、調節箱の写真をご紹介します。

スライドを開いてご確認ください。

https://docs.google.com/presentation/d/1LISAOp5cl5dM7EIM7uHnsruWWu1Ieb8UmevenBYFYGs/edit?usp=sharing

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