【注意】避難所・避難生活の衛生・感染症対策(その30)

【保健師活動】能登半島地震関連・質問と回答
① 避難所のゾーニング
② エピソードの紹介
③ 避難所の感染症対策
④ 平時の訓練
⑤ 保健師の対応
⑥ 避難所の衛生管理
⑦ 能登半島地震被災地の課題
⑧ 医師の視点
⑨ 戦争・紛争時のDMAT活動
⑩ 冬の災害対応
⑪ 保健医療福祉調整本部で困ったこと
⑫ 医療職としての行動
⑬ 支援活動チームの連携
⑭ 支援時の個人の装備品
⑮ トイレの衛生
⑯ 熊本地震以降の改善点
⑰ 支援チームの役割分担
⑱ 発災直後の状況
⑲ 救護所の設置
⑳ 衛星電話の使用
21 EMISの活用・見直し

元文京区文京保健所・環境衛生監視員で、『災害時・避難所の衛生対策のてびき』著(根本昌宏監修、一般財団法人日本環境衛生センター)、避難所衛生対策・レジオネラ症対策の研修講師をしている「オフィス環監未来塾」中臣昌広です。

地震の地域の皆様へお見舞い申しあげます。

2024(令和6)年7月上旬、自主研究・勉強会の第27回環監未来塾私塾・無料講演会「能登半島地震・災害医療の実際と衛生問題」をオンライン開催しました。

講師は、岩手医科大学医学部・助教、DMATインストラクターの藤原弘之氏でした。

全国保健師長会の会員をはじめ全国の保健師の皆様、保健所・環境衛生監視員のかたなど、100人を超えてのご参加がありました。

ご講演中に参加者の皆様から寄せられたご質問について、ご講演中及びご講演後に、藤原先生からご丁寧に回答いただきましたので、ご紹介します。

全国保健師長会に情報提供しています。

ご活用ください。

①【質問】避難所のゾーニング

避難所のゾーニングについて、教えてください。

【回答】

環境感染学会やオフィス環監未来塾のホームページを参考にされていた方もいると思います。

効果的なゾーニングがされていたと思います。

段ボールベッド、仕切り、テント型シェルターなどが活用されました。

私が見たある避難所では、段ボールベッドは外からの支援で、1月なかばすぎから導入されました。

2月下旬~3月になって、段ボールベッドの種類により、カビが生えたり、強度が落ちたりしたものがありました。

湿気でふにゃふにゃしたものを見ました。

(能登半島地震被災地では、10社以上の段ボールベッドが使われたといわれています)

②【質問】エピソードの紹介

ここを見落とすとこうなるみたいなエピソードを知りたいです。

【回答】

態勢づくり、インフラの補給などが重要になると思います。

医療が必要な人に支援がとどくようにすることが大切だと思います。

③【質問】避難所の感染症対策

避難所の感染症対策について知りたいです。

【回答】

しくみをつくることが大切です。

石川県では感染症の専門家が活動しました。

適材適所で、災害関連団体のナースと連携するしくみや、新型コロナのときの連携・関係性を活かした活動が大切です。

④【質問】平時の訓練

数多くの災害対応を行った先生が、行政の平時の災害対応訓練に必要だと考える訓練内容、準備などがあれば知りたいです。(業務上、災害訓練の計画(特に感染症対策)を立てる機会が多いので)

【回答】

実際の災害に沿った内容をつくることが大切です。

手足が動くかは、脳が動くかが大切で、つまり、本部機能をどうつくれるかにあります。

いかに幹部を巻き込むかです。

参加者にシナリオをオープンにしないやり方、いわゆるブラインド訓練が効果的です。

⑤【質問】保健師の対応

保健師の対応について、どう思いますか。

【回答】

みなさん尽力されて、素晴らしい活動だと感じました。

不安としては、頑張りすぎる傾向があることでしょうか。

大丈夫ですかと聞けば、「大丈夫です」という答えが返ってきます。

倒れる前にサインを出してほしいと思います。

⑥【質問】避難所の衛生管理

避難所での効果的な衛生管理について知りたいです。

【回答】

ガイドラインやマニュアルには、衛生管理の記載があると思います。

ただ、季節や建物の状況で中身が変わります。

専門家に聞くことも大切です。

西日本豪雨では、結膜炎、湿疹などが出はじめたときがありました。

夏に、泥や腐敗物の影響かと推測しました。

しかし、あとでわかったことですが、消石灰が原因でした。

⑦【質問】能登半島地震被災地の課題

被災地支援の実際の状況やどのような課題があったのか知りたい。

今回、保健師長会からの研修案内で「オフィス環監未来塾」を知りましたので、ホームページも拝見したいと思います。

【回答】

能登半島地震では、安全管理、住民・支援者の移動で課題がありました。

奥能登の珠洲へ行くために、七尾市を拠点する人が多くいました。

珠洲~七尾は、当初、4~5時間かかったのです。

従事者、職員には、移動のリスクがありました。

事故、パンク、疲労などです。

移動に労力がさかれ、日中に仕事ができない状況がありました。

パワーがでなかったのです。

ケガをした例もありました。

交通状況で、奥能登へ支援に行くのが課題でした。

支援者が行きたくても行けない状況だったのです。

⑧【質問】医師の視点

実際に被災者の二次的な健康障害防止対策を考えるときの医師の視点を知りたい。

【回答】

まずは災害に起因する症状のケア、それから持病のケア、日常服用している薬を持参しているか等について確認が必要です。

それに加えて、体調不良を我慢している方も少なくないのでそのような方が言い出しやすい環境づくりも大切です。

例えば巡回診療や救護所の設置などです。

⑨【質問】戦争・紛争時のDMAT活動

いろんな場面が想定されますが、DMATでは台湾有事についても検討されていますか?

【回答】

台湾有事を国がどう解釈するかがキーポイントですが、少なくともDMATは戦争・紛争等での活動は想定していません。

DMAT活動要領にも戦争・紛争の類での活用は明記されていません。

⑩【質問】冬の災害対応

災害時の季節の特徴について

【回答】

講演のなかでも触れさせていただきましたが、能登半島地震では真冬の災害対応の難しさを痛感しました。

冬の災害対応は、がれきの下敷きになった方々が低体温症でお亡くなりになる可能性が高いので、夏と比較して救助時間の短縮が求められます。

また、避難所生活や支援チームの活動においても冬のリスクを念頭に置く必要があります。

逆に夏の災害においては、熱中症が危惧されること、食料の腐敗など衛生管理に注意が必要であることなど7月に発災した西日本豪雨対応の時に痛感させられました。

⑪【質問】保健医療福祉調整本部で困ったこと

保健医療福祉調整本部での対応・運営で困っていた内容は、何ですか。

【回答】

支援団体がとても多くてそのとりまとめに苦労しました。

⑫【質問】医療職としての行動

何から手をつけるべきか知りたい

【回答】

私の専門は医療なので、やはり一人でも多くの命を救うことを優先しています。

そのためには、まずは病院、病院のなかでも災害拠点病院を機能させることです。

それができたら災害拠点病院を軸として、一般病院のフォローをして、病院という医療提供体制を整えることです。

その前提で、高齢者施設等の福祉施設、そして避難所です。

当然診療所のフォローも重要です。

⑬【質問】支援活動チームの連携

様々な活動チームの連携のコツについて知りたいです

【回答】

まずは全てのチームが、災害時の保健医療福祉対応の基礎をしっかり理解していることが前提です。

これは、それぞれの団体における平時の研修・訓練での研鑽が鍵をにぎります。

それがあって、有事の際に重要なことは情報共有です。

それぞれのチームが行っている活動を、しかるべき拠点で情報共有するべきです。

そのためにもミーティングを開催して、多くのチームが情報共有できる場を作ることが大切です。

⑭【質問】支援時の個人の装備品

応援に行く時に、必ず個人の装備の備えとして必要なものを教えてほしいです

【回答】

それぞれの事情によって装備は異なると思います。

私が現場で時々見聞きする苦労話は、現地では絶対に手に入らない物やその人特有の必需品を持参するのを忘れたケースです。

例えば、持病の薬、メガネ、コンタクトレンズなどで、これらを忘れて現地で大変な目に会っている方々を何度かみたことがあります。

⑮【質問】トイレの衛生

トイレが使えない場合の衛生指導

【回答】

屋外で排泄するにしても、その環境を適切に整えることです。

プライバシーの確保やセキュリティ面です。

⑯【質問】熊本地震以降の改善点

熊本地震以降の改善されたことは

【回答】

熊本地震がきっかけで大きく変わった制度は、行政の枠組みのなかで保健医療調整本部(現行:保健医療福祉調整本部)を設置することです。

⑰【質問】支援チームの役割分担

様々なチームが支援に入るなかでの、役割分担の方法について知りたいです。

【回答】

まずは当事者間でじっくり話し合う事が重要です。

それに加えて、それぞれのチームが所属する団体(例えばDMAT、日赤、JMAT、DHEAT等)の上位本部の意向を確認して役割分担することです。

時々みられるのは上位本部の意向を確認せず、現場のみで判断して後日、抜本的な変更を余儀なくされ、苦労する場面です。

⑱【質問】発災直後の状況

発災直後の医療現場の状況を知りたい

【回答】

発災直後は、やはりDMATが迅速に被災地に入ります。

DMATの発災直後の最優先任務は、災害拠点病院の拠点化です。

災害拠点病院に入って、必要とあらば、その病院の災害対策本部機能をサポートします。

講演のなかでお話しさせていただいたCSCAの確立を、発災直後は強く意識して活用します。

⑲【質問】救護所の設置

保健所が多忙で、行政の救護所の設置ができなかったと聞きましたが、現地ではどうだったでしょうか。

【回答】

行政の救護所がどのくらい設置されたかについて、持ち合わせている数字はありません。

私の印象としては、行政は忙しいながらも優先順位をつけて適切に対応していました。

その優先順位によっては、すぐに着手できていない業務もあったかもしれませんが、それでも的確に業務の優先順位付けが行われていた印象をもっています。

⑳【質問】衛星電話の使用

保健所としては衛星電話は必須準備物でしょうか。外でしか使用できないのでしょうか。

【回答】

衛星電話は必須です。絶対に必要です。

理想的には、高速データ通信機器(例えば、講演で紹介したスターリンクなど)があれば、良いです。

少なくとも音声通話、つまり衛星電話くらいはないと厳しいと思います。

21【質問】EMISの活用・見直し

EMIS(広域災害救急医療情報システム)の活用は、能登半島地震ではどの範囲でされたのでしょうか。

EMISの見直しがされていると聞きました。大幅な変更など、予定されているのでしょうか。

【回答】

石川県内はもちろんのこと、支援者も活用していたという解釈で説明すると全国で使われていました。

おっしゃる通り現在EMISの見直しが検討されています。

この数年以内に、バージョンアップされます。

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【実績】

・2023年、令和5年度 兵庫県・北播丹波ブロック市町保健師協議会・研修会で、「災害時の避難所の衛生、感染症対策」の講師をつとめました。

・2023年、第54回 沖縄県衛生監視員研究発表会及び研修会で、特別講演「災害時・避難所の衛生対策について」の講師をつとめました。

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。

・2022年、東京都特別区職員研修所、令和4年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「災害時の避難所の衛生・感染症対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました

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