【注意】避難所・避難生活の衛生・感染症対策(その28)
【保健師活動】避難所の衛生対策の疑問点に答える・2次避難所
①布団の敷きっぱなし
②部屋の掃除は避難者任せ
③虫の発生を予測
④弁当の放置
⑤室内の洗濯物干し
⑥感染予防策
⑦2次避難所の避難者の健康管理
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元文京区文京保健所・環境衛生監視員(環監)で、『災害時・避難所の衛生対策のてびき』著、避難所衛生対策・レジオネラ症対策の研修講師をしている「オフィス環監未来塾」中臣昌広です。
地震の地域の皆様へお見舞い申しあげます。
次のとおり、【保健師活動】避難所の衛生対策の疑問点に答える・2次避難所について、これまでの被災地での避難所衛生対策活動の経験を基に、保健所・環境衛生監視員の視点でまとめています。
全国保健師長会に情報提供しています。
ご活用ください。
全国保健師長会からお問い合わせがありました、能登半島地震関連の2次避難所の衛生対策の実際や疑問点について、ご回答です。
2024(令和)5月21日時点で、石川県の災害対策本部員会議資料によると、旅館・ホテル等の2次避難所の避難者数は、1,608人です。
1 布団の敷きっぱなし
【実際】
布団の乾燥やシーツの交換の頻度までは確認できず、訪問時に布団を敷きっぱなしの世帯は複数ありました。
【環監の視点】
2週間に1回程度、天日干し、あるいは家庭用布団乾燥機による布団乾燥が望ましいと思います。
通常、ホテルや旅館では、布団乾燥車の専門業者に依頼して、年に1~2回程度、布団乾燥を実施しています。
日常生活を想定すると、2週間に1回程度、したいですね。
カビの発生やダニの増殖を防ぎ、呼吸器系疾患予防につながると思います。
参考となるページは、次のとおりです。
【保健師活動】避難所の室内アレルゲン低減と呼吸器系疾患予防
【保健師活動】避難所の衛生環境をアップさせる布団干しの方法
2 部屋の掃除は避難者任せ
【実際】
部屋の掃除は避難者任せの状態でした。
【環監の視点】
2次避難所を集団生活の場とするか、個々の生活の場とするかで考え方が違ってくると思います。
集団生活の場とすると、基本ルールがあってもいいかもしれません。
たとえば、週に1回、掃除機で室内を清掃しましょうとルールがあってもいいですね。
3 虫の発生を予測
【実際】
避難生活が1か月以上続くと、お菓子や日用雑貨が増え、中には段ボールに衣類と一緒に雑多に収納している方もあり、虫の発生が予測されます。
【環監の視点】
各部屋の掃除をルール化すると、虫の発生を抑えることができるかもしれません。
4 弁当の放置
【実際】
弁当に飽きてきた方は、昼は外食に出かけ、昼に出された弁当を夜まで暖房の効いた部屋に放置していることがありました。
【環監の視点】
基本は、弁当の調理終了後から2時間以内に喫食するのが目安です。
弁当が手元に届いてから2時間以内に食べることを徹底することが、気温が上がる時期には安心ですね。
5 室内の洗濯物干し
【実際】
洗濯は、施設近くのコインランドリーを利用、室内に洗濯物を干している世帯がありました。
【環監の視点】
乾燥機があれば、乾燥機を利用したいですね。
室内の洗濯物干しは、乾燥時期には室内の乾燥を防ぐことにつながるケースがあります。
その一方で、気密性がいい室内では、結露やカビの発生につながることもあると思います。
6 感染予防策
【実際】
インフルエンザやコロナに罹患している方もいたが、室内でマスクをする方はほとんどなく、各部屋に消毒等の設置はありませんでした。
【環監の視点】
空気清浄機があれば、有効利用したいですね。
呼吸器系感染症のウイルス除去に効果があります。
7 2次避難所の避難者の健康管理
【実際】
施設数が多く、状況も刻々と変わるため、各自治体チームや次のチームに情報共有しても次の巡回では状況が全く異なることもありました。
【環監の視点】
避難者の健康管理や健康状態について、随時情報が入ると安心ですね。
過去に避難所をみて感じたのは、避難者のかたのなかに保健係がいるといいなと思ったことがありました。
毎日、ラジオ体操や朝食のときに、保健係から周りの人に声掛けをして、体の変調をみつけたときは、避難所運営者や巡回保健師などに伝える仕組みがあると安心ですね。
避難所のアセスメントについて、『災害時・避難所の衛生対策てびき』中臣昌広著・根本昌宏監修(一般財団法人日本環境衛生センター、税込1,500円)P165~P172にチェックリスト一覧表があります。こちらからご覧いただけます。現場でお使いください。
上の画像をクリックすると、pdfが開きます。
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【ご案内】
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『災害時・避難所の衛生対策のてびき』ご購入をお考えのかたは、こちらから注文ができます。
【実績】
・2011年、東日本大震災被災地で地元自治体に協力して避難所衛生対策活動、その後、2016年に熊本地震、2018年に西日本豪雨、2019年に令和元年台風19号被災地でも地元自治体に協力して避難所衛生対策で活動しました。
・2023年、令和5年度 兵庫県・北播丹波ブロック市町保健師協議会・研修会で、「災害時の避難所の衛生、感染症対策」の講師をつとめました。
・2023年、第54回 沖縄県衛生監視員研究発表会及び研修会で、特別講演「災害時・避難所の衛生対策について」の講師をつとめました。
・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。
・2022年、東京都特別区職員研修所、令和4年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「災害時の避難所の衛生・感染症対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。