【注意】地震断水時の避難所・避難生活の衛生・感染症対策(その20)

【保健師活動】2次避難所(ホテル・旅館)の環境衛生管理の注意点
①布団の乾燥
②加湿器の衛生管理
③空気清浄機の活用(ウイルス対策)

2次避難所(ホテル・旅館)の環境衛生管理の注意点

上の画像をクリックすると、pdfが開き、印刷可能です。ご活用ください。

能登半島地震関連の避難所・避難生活の衛生対策に関する情報を継続して発信しています。新しい発信は、お知らせメールやX(旧Twitter:@office_kankan)でご案内していますので、ご希望の方はお知らせ登録ください。 >>お知らせ登録はこちら

空気清浄機(イメージ写真)

元文京区文京保健所・環境衛生監視員で、『災害時・避難所の衛生対策のてびき』著、避難所衛生対策・レジオネラ症対策の研修講師をしている「オフィス環監未来塾」中臣昌広です。

地震の地域の皆様へお見舞い申しあげます。

次のとおり、【保健師活動】2次避難所(ホテル・旅館)の環境衛生管理の注意点について、これまでの被災地での避難所衛生対策活動の経験を基に、保健所・環境衛生監視員の視点でまとめています。

全国保健師長会に情報提供しています。

ご活用ください。

まず、ホテル・旅館の空調設備をご説明します。

【ホテル・旅館の空調設備】

①中央管理方式(空調機械室で換気・加湿・冷暖房)

建物全体を、統一的に管理する空調機械をもっている方式です。

空調機械室で、取り入れた外気と室内空気の一部とを混合し、温度・湿度を調整したあと、各部屋に空気を送っています。

建物全体で主に一つの機械室で空気を調整します。

このほか、階ごと、2~3フロアごとに分けて、空調機械を設ける方式があります。

②個別管理方式(機械換気、各部屋で冷暖房)

階ごと、あるいは2~3フロアごとに、機械換気設備がある方式です。

機械換気設備で各部屋の空気を入れ換え、冷暖房は各部屋の空調機(エアコン)でするのが個別管理方式です。

空調による加湿がおこなわれない場合があります。

加湿がないとき、暖房による温度の上昇とともに部屋の湿度が下がります。

機械換気を、各部屋でおこなうタイプもあります。

最近の中規模のホテル・旅館では、個別管理方式が多くなっています。

③自然換気方式(窓の開放で換気)

築50年を超えるような木造建物の旅館では、窓を開ける自然換気が多いでしょう。

冷暖房は、各部屋でエアコンやガスストーブ、石油ストーブなどが使用されています。

1 布団の乾燥

2次避難所の滞在期間が、2カ月以上になるときは、布団乾燥を推奨します。

仮設住宅での布団干し(2017年、熊本地震被災地)

避難者の方で、ぜんそくや呼吸器系疾患のある方の部屋を、優先して布団乾燥するのが選択肢のひとつです。

中規模以上のホテル・旅館では、布団乾燥について、委託して布団乾燥車により、たとえば、掛け布団や敷き布団など100~300組を、年に1~2回程度おこなっている施設があります。

施設のホテル・旅館と天日による布団干しや布団乾燥の方法を相談してもいいでしょう。

布団の乾燥により、ダニやカビなどアレルゲン量の低減につなげることができます。

2 加湿器の衛生管理

加湿器を使用するとき、毎日、新鮮な水道水を容器に入れ換えましょう。

避難所の加湿器(2019年、令和元年台風19号被災地)

細菌・カビなどの増殖を抑制ため、塩素の入っている水を使うのがポイントです。

安全のため、ペットボトルの水や浄水器を通した水、井戸水ではなく、水道水を使いましょう。

加湿器使用中、週に1回程度、容器の中を洗浄しましょう。

>>加湿器の洗浄方法 詳しくはこちら

加湿器の使用は、部屋の湿度を上げて、喉の粘膜の乾燥を抑えて、風邪やインフルエンザの予防につながります。

加湿器のほか、濡れタオルを室内に干すことも湿度アップになります。

3 空気清浄機の活用(ウイルス対策)

同一部屋内で、家族間の感染リスクを下げるため、空気清浄機の活用が有効です。

ホテルの空気清浄機(イメージ写真)

家族のなかで、風邪など罹患者が出た場合、同一部屋内で、段ボールなどパーティションの設置をして、過ごす可能性があります。

2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大時に、HEPAフィルター(高性能フィルター)と同程度の性能がある家庭用空気清浄機が、ウイルス除去に効果があると評価されました。

症状がある人の近く、ウイルス発生源近くに置くといいでしょう。

ただし、空気清浄機は、あくまで補助的に使うものです。

まわりの1.5~2m程度の範囲が、使用のイメージと思われます。

感染リスクを下げるために、換気が大切になります。

1時間に1回程度、2~3分間、窓を開けて、空気を入れ換えましょう。

 避難所のアセスメントについて、『災害時・避難所の衛生対策てびき』中臣昌広著・根本昌宏監修(一般財団法人日本環境衛生センター、税込1,500円)P165~P172にチェックリスト一覧表があります。こちらからご覧いただけます。現場でお使いください。

チェックリスト一覧表

上の画像をクリックすると、pdfが開きます。

能登半島地震関連の避難所・避難生活の衛生対策に関する情報を継続して発信しています。新しい発信は、お知らせメールやX(旧Twitter:@office_kankan)でご案内していますので、ご希望の方はお知らせ登録ください。 >>お知らせ登録はこちら

【ご案内】

災害時の衛生対策、避難所・避難生活の衛生対策のご質問、ご相談など、お気軽にお問い合わせください

災害時の衛生対策、避難所・避難生活の衛生対策の講師ご依頼につきまして、お気軽にお問い合わせください

『災害時・避難所の衛生対策のてびき』ご購入をお考えのかたは、こちらから注文ができます。

【実績】

・2011年、東日本大震災被災地で地元自治体に協力して避難所衛生対策活動、その後、2016年に熊本地震、2018年に西日本豪雨、2019年に令和元年台風19号被災地でも地元自治体に協力して避難所衛生対策で活動しました。

・2023年、令和5年度 兵庫県・北播丹波ブロック市町保健師協議会・研修会で、「災害時の避難所の衛生、感染症対策」の講師をつとめました。

・2023年、第54回 沖縄県衛生監視員研究発表会及び研修会で、特別講演「災害時・避難所の衛生対策について」の講師をつとめました。

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。

・2022年、東京都特別区職員研修所、令和4年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「災害時の避難所の衛生・感染症対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。

Follow me!