【環監・保健師入門編】新型コロナ対策・空気清浄機使用時の注意

【私の視点】
室内空気中の消毒用エタノール濃度が高いときに、空気清浄機を運転すると、フィルターの除去能力を下げる可能性があります。
室内で消毒用エタノールを多量使用したときは、窓を開けて自然換気を十分してから、空気清浄機を運転しましょう。

空気清浄機(イメージ写真)

2023(令和5)年1月中旬、都内で開催された第50回建築物環境衛生管理全国大会に参加しました。

会場には、新型コロナの関係で入場人数の制限があるなか、行政、大学、企業、研究機関などの関係者、100人くらいのかたが出席していました。

研究発表会で関心をもったのは、「空気清浄機の粉じん除去性能評価と性能劣化に関する検討」です。

発表者は、次のとおりです。

○阿部葵葉氏(東京工業大学)、鍵直樹氏(東京工業大学)、海塩渉氏(東京工業大学)です。

○印が、口頭発表者です。

【発表から私の理解した内容】

・空気清浄機の静電フィルターを搭載する空気清浄機の浮遊粉じん除去性能について、消毒用エタノールを影響を与える因子として捉え、性能の劣化を調べた。

・実験は、空気清浄機の吸い込み口の近くでアルコール噴霧した条件でも実施した。

・フィルターの捕集効率でみると、アルコールを噴霧した場合、除去効率が低下した。

・室内での除菌用アルコール等の使用により、空気清浄機の性能に影響を与える可能性がある。

【質問】

私から口頭発表者へ質問をしました。

「消毒用エタノールの影響で除去性能の下がった、空気清浄機のフィルターは、そのあと、除去性能が回復するまで、どのくらいの時間を要するのでしょうか?」

フィルターの除去能力が、完全に回復しない可能性があるのかも気になりました。

【回答】

発表者からのご回答は次のとおりでした。

「その点は、実験をしていないので、今後、検証したいと思います」

【空気清浄機の使用時の注意】

・今回の報告が実験データであり、実際の使用状況下のデータが出ていないので、現場の実態と同一かはわかりませんでした。

・今回の報告の内容は、マスクにも共通と思われます。

2020年にマスクの供給不足が問題になった際、マスクの複数日使用のために、マスク表面に消毒用エタノールを噴霧するケースがありました。

そのとき、マスクの静電効果が下がり、除去能力が落ちるとの意見を聞きました。

今回の報告は、電気的なプラスマイナスによる捕集作用により除去効率を高めているフィルターの除去能力が落ちることがポイントです。

・理論的には、消毒用エタノールの室内濃度が高い部屋で空気清浄機を使うと、フィルターの除去能力が下がり、新型コロナウイルスの除去に影響を与える可能性があることになります。

・これまで使用されてきた宿泊療養施設などで、滞在者が退室したあと、消毒用エタノールによる清拭による作業をする際や直後に空気清浄機を運転すると、フィルター効果を下げる可能性があるかもしれません。

【私の視点】

病院、高齢者施設など、消毒用エタノールの使用頻度が高い施設があります。

室内空気中の消毒用エタノール濃度が高いときに、空気清浄機を運転すると、フィルターの除去能力を下げる可能性があります。

室内で消毒用エタノールを多量使用したときは、窓を開けて自然換気を十分してから、空気清浄機を運転しましょう。

消毒用エタノールを多量使用した部屋の空調機のフィルターにどの程度の影響があるのかは、調査をしてみないとハッキリわからないと思います。

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【実績】

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。

・2022年、東京都特別区職員研修所、令和4年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「災害時の避難所の衛生・感染症対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。

・2022年、かながわ疫学勉強会(主催:元神奈川県食品衛生監視員・小池剛氏)で「感染症と空気環境」(オンライン)の講師をつとめました。

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