【環監入門編】レジオネラ症対策・浴槽バイブラ配管の洗浄方法
【私の視点】
バイブラ浴槽、ジェットバスなど、配管の構造を理解して、洗浄消毒方法を選択することが大切です。
配管構造は、施設によって違いがあります。図面や現場を見て、正確な把握に努めることが大切です。
2023(令和5)年1月下旬、A保健所・環境衛生監視員のかたから、ご質問をいただきました。
環監の衛生監視指導に役立つ内容ですので、ご紹介します。
回答につきましては、専門家の株式会社ヘルスビューティー・シニアテクニカルアドバイザーの藤井明氏の助言をもとに、私が作成しました。
【質問】
バイブラ浴槽について、空気取入口から送風ポンプ、浴槽のバイブラまでの配管の洗浄消毒をどのようにしたらいいでしょうか。
【回答】
バイブラは、浴槽の底から空気の泡が出る装置です。
基本的に、稼働中は空気のみが配管を流れています。
ただし、バイブラの稼働が止まったとき、配管に湯がたまることが考えられます。
浴槽底までの配管の立ち上がり部分があると、バイブラ停止中の配管内の滞留水は浴槽水面と同じ水位まで達すると考えられます。
この現象を利用して、配管の洗浄消毒を考えます。
週に1回の高濃度塩素消毒の循環運転、年に1回の配管洗浄の循環運転をするとき、間欠的に循環運転をし、途中で10分間程度、運転を止め、バイブラ配管内の浸け置きをするのです。
たとえば、循環運転を5分間したら、10分間浸け置きをするイメージです。この繰り返しで、計1時間の高濃度塩素消毒をします。
このようにバイブラ配管の浸け置きをして、バイオフィルム(生物膜)の成長を抑えるのです。
空気取入口から送風ポンプまでの空気のみが流れる配管は、濡れる部分がなければ、バイオフィルムの形成が起きないと思われます。
空気取入口のスポンジ状のフィルターの清掃をすればよいでしょう。
【参考】
バイブラの衛生管理の一例をご紹介します。
①(可能な場合)浴槽底の装置表面の金属板を外し、1年に1回程度ブラッシングと消毒をする。
②年に1回の配管洗浄(薬剤洗浄)の際に、気泡発生装置を間欠的に作動する。
③週に1回の循環配管の高濃度塩素消毒の際に、気泡発生装置を間欠的に作動する。
④週に1回、気泡発生装置の空気取入口の点検(異物除去)をする。
【ジェットバス】
ジェットバスは、浴槽の湯を空気と混合させて循環させています。
ジェットバスの空気取入口は、浴槽の縁にあることが多く、あふれたりはねたりした湯が入り込むことがあるでしょう。
この場合、洗浄方法は、ジェットバスの空気取入口と浴槽を簡易的な配管で接続し、浴槽から高濃度塩素水等を空気取入口に導入して、循環させます。
こうすることで、ジェットバス系統の配管洗浄が可能になります。
【私の視点】
バイブラ浴槽、ジェットバスなど、配管の構造を理解して、洗浄消毒方法を選択することが大切です。
配管構造は、施設によって違いがあります。図面や現場を見て、正確な把握に努めることが大切です。
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【実績】
・2022年、厚生労働省のレジオネラ対策のページに掲載される「入浴施設の衛生管理の手引き(令和4年5月13日)」の作成ワーキンググループのメンバーに、国立感染症研究所・倉文明先生らと共になっています。
・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度・環境衛生監視指導研修で「環境衛生監視指導の実際、公衆浴場のレジオネラ症対策」(オンライン)の講師をつとめました。
・2021年、高知県、令和3年度入浴施設におけるレジオネラ属菌汚染防止対策講習会・環境衛生監視員を対象とした現場研修会「循環式浴槽立入検査の実際について」の講師をつとめました。