環監・保健師のための防災【入門】素振り避難が気づきを生んだ

【私の視点】
訓練をすることで、不十分な点に気づき、補う行動に結びつけることができます。
それが、市民の命・健康をまもることにつながると思いました。

避難所総合訓練でのミニ講義(2018年)

2022(令和4)年8月下旬、人と防災未来センター(DRI)防災連続セミナー(主催:阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター、会場・オンライン開催)にオンライン参加しました。

テーマは、「あの人は、どうしたら逃げたくなるのか?」です。

プログラムは、次のとおりです。

(開会あいさつ)

河田惠昭氏(人と防災未来センター長)

(講演)

①片田敏孝氏(東京大学大学院情報学環特任教授、人と防災未来センター上級研究員)

演題:「“逃げる”の諸相」

②矢守克也氏(京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授)

演題:「豪雨災害-響く呼びかけ、動く働きかけ-」 

③山﨑登氏(国士舘大学防災・救急救助総合研究所教授、人と防災未来センター上級研究員)

演題:「気象情報をどう生かすか」

(パネルディスカッション)

ファシリテーター: 河田惠昭氏
パネリスト: 片田敏孝氏、矢守克也氏、山﨑登氏

・ご講演から私が理解したのは次のとおりです。

②矢守克也氏

・3つのキーワード

・避難スイッチ

いつ、どこへ、誰と逃げるかを考えましょう。

どういう情報を得たら逃げるか、みんなで決めておく
 
→避難スイッチをいれる。
  
 例:川の水位があそこまで来たら危ない。逃げよう。

 
・セカンドベスト(次善)

ベストな避難所へ必ず行くことができるとは限らない。

次善の現実的な避難場所を、第2、第3の避難場所として考える。

例:高台の公民館への移動は、現実的ではないとき。
  次善の一時避難場所をお堂とする。
 (集落で比較的安全な場所)

例:垂直避難。屋根裏の養蚕スペースへの避難。

・「空振り」あらため「素振り」

情報は百発百中ではない。

見逃しより空振りがいい。

避難情報が出て避難したけれども、何も起こらなかったケースがある。

トレーニングの「素振り」になると心がける。

「素振りのつもりで、早めの避難を」

「素振りをしていないと、ホームランを打てません」

素振りのつもりで早めの避難を<ご近所編>(岡山県備前県民局)

【私の視点】

矢守克也氏の話で印象に残った事例がありました。

京都府綾部市の90歳代の女性が、20回の素振り(空振り)避難を繰り返したあと、21回目の避難で命が助かった話です。

親戚宅に避難した後に、土砂災害、家の全壊が起こりました。

素振り避難が実ったものだと感じました。

その話につけ加えられて、

素振り避難で車で移動した際に寒い体験をしたあと、

車に毛布を積むようになったそうです。

この話は、何のために防災訓練をするのかと重なると思いました。

訓練をすることで、不十分な点に気づき、補う行動に結びつけることができます。

それが、市民の命・健康をまもることにつながると思いました。

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【実績】

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。

・2021年、東京都特別区職員研修所、令和3年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「新型コロナウイルスを踏まえた避難所の衛生対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。

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