環監・保健師のための防災【入門】避難所の運営は信頼関係の構築から
【私の視点】
避難所運営責任者として小池さんは、生活者や避難所を訪れる人たちに必ず自ら名乗りました。
信頼関係の構築の第一歩が、そこにありました。
2022(令和4)年6月下旬の夜、第15回環監未来塾私塾の講演会「災害時の避難所の衛生、令和元年台風19号被災地の避難所をふりかえって、運営者の視点」をオンライン開催しました。
講師は、長野市復興推進特別対策室の小池啓道氏です。
約2カ月間、避難所の運営責任者として携わりました。
私塾には、全国の保健所・環境衛生監視員、食品衛生監視員など13名のかたが参加しました。
「貴重なご講演」「実体験の生の声を聴けて、具体的なイメージがわいた」「信頼関係の構築など勉強になった」
と声を聞きました。
画面には、当時の避難所の様子の写真や、課題と対策などが映し出されました。
資料のなかで、いちばん印象に残ったのが、小池さんと避難所運営スタッフとボランティアなどの、あたたかい雰囲気が伝わってくる集合写真です。
避難者のみなさんを支えた、小池さんを中心にしたスタッフ、ボランティア等のチームの存在を感じました。
「避難者のかたの命・健康を守る」。そうした目標でまとまった、チーム小池を感じたのです。
ご報告を聞きながら何より、小池さんの人を包み込むような人柄、だれ一人取り残さないという思いが、根底にあると思いました。
ご報告を聞き終えたとき、小池さんが運営責任者となった避難所が、ひとつの、家庭、家族、コミュニティのように見えたのです。
当時、長野市保健所に協力して、避難所の衛生対策活動で巡回した私は、環監の視点から思い出したことがあります。
・石油ストーブの使用
化石燃料を燃やすと、細かい粉じんが発生します。呼吸器系の疾患がある人への影響が考えられます。
・温度・湿度計の設置
温度・湿度の確認は大切です。避難所内に温度・湿度計の設置をアドバイスしたところ、すぐに設置されました。小池さんのすばやい対応に感心しました。
・室内テニスコートの避難所
コンクリートの壁が、気温10℃を下まわる外気の影響で冷え、壁近くに寝具を置く生活者の健康が懸念されました。
【私の視点】
避難所運営責任者として小池さんは、生活者や避難所を訪れる人たちに必ず自ら名乗りました。
信頼関係の構築の第一歩が、そこにありました。