環監・保健師のための防災【入門】新型コロナ対策の消毒の知識
【環監の視点】
新型コロナ対策の正確な消毒の知識を身につけましょう。
・手指消毒及びモノの消毒
約80%濃度の消毒用エタノールあるいは60~95%濃度のエタノール
・モノの消毒
0.05%の次亜塩素酸ナトリウム
(ノロウイルス対策には0.1%以上です)
・消毒剤の空間噴霧は、控えたほうがよいでしょう。
2022(令和4)年5月中旬、神戸大学都市安全研究センターオープンゼミナール(主催:神戸大学都市安全研究センター)のオンライン防災講演会に参加しました。
テーマは、「災害と感染症~不安定な世界の中で~」です。
講師は、大路剛氏です。
神戸大学都市安全研究センター准教授
神戸大学医学部附属病院感染症治療内科准教授
・災害後の感染症について、死亡につながるものとして次のとおり挙がりました。
①麻疹(はしか)
アウトブレイクがおきやすい。空気感染をする。
ワクチン未接種や、1回接種で抗体値が低いときに感染の可能性がある。
②水系感染症:食中毒、下痢症
③呼吸器感染症:新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ
・質疑応答で次のような質問がありました。
①避難所での消毒について、アルコール消毒と次亜塩素酸系がありますが、・・・・・・。
②次亜塩素酸系消毒剤の室内噴霧は避難所室内で有効なのでしょうか。
・環監の視点から、考えてみたいと思います。
①消毒剤の代表的なものは、消毒用エタノールと次亜塩素酸ナトリウムです。
消毒用エタノールはエタノール濃度が約80%あります。
60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があり、新型コロナ対策として、手指消毒、モノの消毒に濃度60%以上95%以下のエタノールを使用した消毒で差し支えありません。
購入したエタノール類は、時間の経過で蒸発により濃度が下がる傾向にあります。
購入後、できるだけ早く使用するようにしましょう
次亜塩素酸ナトリウムは、モノの消毒に有効です。
0.05%以上で新型コロナ対策として有効です。
家庭用漂白剤の成分として、次亜塩素酸ナトリウムが含まれています。
市販品が5%濃度とすると、100倍希釈で0.05%になります。
災害時には、空のペットボトルがあれば、濃度を調整できます。
その際、中をよく洗浄して、残留物がないようにしましょう。
作り方は、500㏄のペットボトルの水に、ペットボトルキャップ1杯(5cc)の塩素系漂白剤を入れると、0.05%ができあがります。
なお、汚物、吐物からのノロウイルス感染防止のためには、0.1%の次亜塩素酸ナトリウム濃度が必要です。
500㏄ペットボトルの水に、ペットボトルキャップ2杯の塩素系漂白剤を入れると、0.1%になります。
②消毒剤の空間噴霧は、控えたほうがよいでしょう。
講師の大路氏は、急性の呼吸器系障害の可能性もあり、やめておいたほうがいいと話していました。
厚生労働省のホームページに、「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が掲載されています。
空間噴霧について、次のような記述があります。
世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスに対する消毒に関する見解の中で、「室内空間で日常的に物品等の表面に対する消毒剤の(空間)噴霧や燻蒸をすることは推奨されない」としており、・・・・・・
また、「消毒剤を(トンネル内、小部屋、個室などで)人体に対して空間噴霧することはいかなる状況であっても推奨されない」としています。
わが国で、「現時点では、薬機法に基づいて品質・有効性・安全性が確認され、『空間噴霧用の消毒剤』として承認が得られた医薬品・医薬部外品も、ありません」と書かれています。
【環監の視点】
新型コロナ対策の正確な消毒の知識を身につけましょう。
・手指消毒及びモノの消毒
約80%の消毒用エタノールあるいは60~95%濃度エタノール
・モノの消毒
0.05%の次亜塩素酸ナトリウム
(ノロウイルス対策には0.1%以上です)
・消毒剤の空間噴霧は、控えたほうがよいでしょう。
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