【環監・保健師入門】レジオネラ症対策・かけ流しの配管洗浄と消毒

【環監の視点】
消毒は、菌を抑えるための最後の砦ということができます。
消毒だけをしっかりやれば、安全かいうと、そうではありません。
たとえば、浴槽中で消毒の遊離残留塩素濃度が条例規定の0.4mg/L以上を維持していても、配管中からバイオフィルムの固まりが浴槽へ流れてくれば、完全に殺菌されるまで一定の時間を要します。
その間に、たとえば、ジャグジー、ジェット水流、バイブラなどの気泡装置があれば、浴槽水の菌は水面上のエアロゾルに混じって舞い、人の口から肺へ運ばれて、レジオネラ肺炎につながる可能性があるのです。

消毒の遊離残留塩素濃度の測定光景

こんにちは。元文京区文京保健所・環境衛生監視員で、レジオネラ症対策・避難所衛生対策の研修講師をしている「オフィス環監未来塾」中臣昌広です。

2023(令和5)年9月下旬、私が企画構成しました、第10回保健所環境衛生監視員講座(主催:一般財団法人日本環境衛生センター、半日オンライン)が開催されました。

全国・保健所環境衛生監視員62名のかたが参加されました。

テーマは、「公衆浴場等のレジオネラ症対策」です。

講座終了後、受講者のかたから、配管洗浄について質問がありました。

配管洗浄は、公衆浴場等の入浴施設のレジオネラ症対策として、年に1回程度、洗浄薬剤を用いて、配管内を物理的にきれいにするものです。

循環ろ過、かけ流し、いずれの施設も配管洗浄は衛生管理上、必要になります。

以下の説明につきまして、専門家の株式会社ヘルスビューティ・シニアテクニカルアドバイザーの藤井明氏のご意見を参考にしました。

【かけ流しの配管洗浄の詳細例】

◎洗浄剤で液体の過酸化水素を使用するとき、手順の例は次のとおりです。

①源泉水槽(貯湯槽)で濃度を調整する。

・過酸化水素の洗浄濃度は、2~3%とされている。

・原液の35%溶液を10倍希釈して、3.5%濃度で使用することがある。

・水槽・配管の容量から、過酸化水素の使用量を計算して水槽に投入する。

・原液35%溶液を10倍希釈するときは、浴槽3m3の場合、300kg(20kg容器15缶)が必要になる。1缶あたり、値段はまちまちで、5,000円~1万円のケースがある。

・水槽内の濃度を確認する場合、過酸化水素の試験紙を使って測定する。

②配管に浸け置き(接触)する。

・配管に、2~3%過酸化水素を流す。

・浴槽に湯が落ちる、配管の先端の吐湯口にフタをして、配管内に過酸化水素を浸け置きする。

・60分程度以上、浸け置きする。

・浸け置きのあと、浴槽へ流し、中和剤(酵素:カタラーゼ)により中和して排水する。

③水を流して、すすぎをする。

・配管先の吐湯口からの排水が透明になるのを目安にすすぎをする。

④消毒作業をする。

・源泉水槽で、液体の5~12%次亜塩素酸ナトリウムを希釈して10~100ppm程度にする。

・配管に、10~100ppm次亜塩素ナトリウムを流す。

・浴槽に湯が落ちる、配管の先端の吐湯口にフタをして、配管内に次亜塩素酸ナトリウムを浸け置きする。

・30分程度以上、浸け置きする。

・浸け置きのあと、浴槽へ流し、中和剤(チオ硫酸ナトリウム、通称:ハイポ)により中和して排水する。

⑤すすぎをする。

・源泉水槽から、水または湯を流して、十分にすすぎをして、終了となる。

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【配管洗浄後の菌の確認検査】

・湯(温泉)の流れを追って水質検査で、源湯槽の吐湯口、源湯槽、浴槽の吐湯口、浴槽水の各ポイントについて、菌の有無、菌数を確認することで、どこに生物膜(バイオフィルム)があるのかを把握することができます。

・配管洗浄後の水質検査のとき、系統すべてで塩素剤等の添加なしで、60分程度、通水(循環)したあとに採水して検査すると、消毒剤の影響がない状態で、実際の菌の有無を確認することができます。

・実際の状態で水質検査をするときは、営業時間中と同じように塩素剤を添加して30~60分程度、通水(循環)したあとに、採水するとよいでしょう。

【かけ流しの配管洗浄の丁寧な手法】

・過酸化水素の濃度を、高めの3.5%程度にする。

・接触(浸け置き)時間を、長めに90~120分程度にする。

・配管洗浄の頻度を高め、年に2~3回にする。

【塩素剤使用の考え方】

私が所属した文京区文京保健所では、環境衛生監視員の提案で、普通公衆浴場(銭湯)が調節箱に自動塩素注入装置をつけるときの設置費用の助成金制度をつくりました。

調節箱は、湯と水を混ぜて、42℃前後のカラン(蛇口)の湯・シャワー水をつくる、鋼鉄製またはステンレス製の箱です。

助成金制度により、当時、13施設すべての調節箱に自動塩素注入装置が設置され、液体の次亜塩素酸ナトリウムによるシャワー水の殺菌が安定的にできるようになりました。

その結果、シャワーを感染源にした患者発生はなくなり、シャワー水からレジオネラ属菌の検出もなくなりました。

設置5年以降のシャワー水の水質検査では、菌の死骸まで調べることができる迅速法で陽性、生きた菌を調べる培養法で陰性の施設がありました。

この結果から言えるのは、上部に開放空間のある調節箱では、自然に土埃などが入り込み、微量のレジオネラ属菌がいることです。

ただし、自動塩素注入装置により、次亜塩素酸ナトリウムの作用で十分な消毒がされて、培養法陰性になっています。

入浴者にとっては、安全にシャワーを使うことができるわけです。

【環監の視点】

消毒は、菌を抑えるための最後の砦ということができます。

消毒だけをしっかりやれば、安全かいうと、そうではありません。

たとえば、浴槽中で消毒の遊離残留塩素濃度が条例規定の0.4mg/L以上を維持していても、配管中からバイオフィルムの固まりが浴槽へ流れてくれば、完全に殺菌されるまで一定の時間を要します。

その間に、たとえば、ジャグジー、ジェット水流、バイブラなどの気泡装置があれば、浴槽水の菌は水面上のエアロゾルに混じって舞い、人の口から肺へ運ばれて、レジオネラ肺炎につながる可能性があるのです。

やはり、循環配管や浴槽水のレジオネラ属菌を最小限に抑えることが大切です。

最小限の菌であれば、消毒により菌検出や患者発生を防ぐことができると考えられます。

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・2022年、厚生労働省のレジオネラ対策のページに掲載される「入浴施設の衛生管理の手引き(令和4年5月13日)」の作成ワーキンググループのメンバーに、国立感染症研究所・倉文明先生らと共になっています。

・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度・環境衛生監視指導研修で「環境衛生監視指導の実際、公衆浴場のレジオネラ症対策」(オンライン)の講師をつとめました。

・2021年、高知県、令和3年度入浴施設におけるレジオネラ属菌汚染防止対策講習会・環境衛生監視員を対象とした現場研修会「循環式浴槽立入検査の実際について」の講師をつとめました。

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