環監・保健師のための防災【入門】水害時の避難所等で発生リスクがある感染症
【私の視点】
国立感染症研究所のホームページに、災害と感染症の情報があります。
水害時の避難所、ボランティア作業での感染症発生リスクとして、COVID-19、呼吸器感染症、感染性胃腸炎、麻疹・風疹、レジオネラ、破傷風、レストスピラなどが挙げられています。
2022(令和4)年8月下旬、神戸大学都市安全研究センターオープンゼミナール(主催:神戸大学都市安全研究センター)のオンライン防災講演会に参加しました。
二つのテーマで、ご講演がありました。
1 南海トラフ地震臨時情報を住民と一緒に考える勉強会の実践
岡田恵実氏(豊橋市役所防災危機管理課)
2 伊勢湾台風における名古屋市の避難者の分布と移動
荒木裕子氏(京都府立大学生命環境科学研究科環境科学専攻准教授)
ご講演から私が理解したのは、次のとおりです。
1 南海トラフ地震臨時情報を住民と一緒に考える勉強会の実践
・生の声をいかすワークショップをブラッシュアップ中
◎南海トラフ地震行動ワークショップの手順
①災害想定の共有
②豊橋市より西側で南海トラフの関連地震が起きて、臨時情報が出たとき、どのような行動をとるのかを考える。
いつ、どこで、誰と何をするか。
③自分が何に困るかを書き出す。
④困らないために、どうしたらいいかを時間軸で考える。
・南海トラフ地震臨時情報の運用開始:令和元年5月から
2 伊勢湾台風における名古屋市の避難者の分布と移動
・GISで、位置情報から解析する。
・伊勢湾台風:1959年9月26日午後6時過ぎ潮岬上陸
929.2hPa
死者4697人
臨海部の低地(干拓した場所)、
120日浸水箇所も、浸水2mの箇所も
堤防決壊、貯木場からの木材流出
名古屋市、当時人口約150万人
・ラジオで情報を得ていた時代
・避難の周知はされていなかった。
多くの人は在宅だった。
・当時、名古屋市内の避難所105カ所に10万人余りが避難した。
・発災1週間~3週間:内陸の避難所が開設
・11月25日に避難所閉所
【私の視点】
私から荒木講師へ質問しました。
<伊勢湾台風当時、避難所で発生した感染症、病気などの種類、発症者の数などの記録はありましたか>
「赤痢のことはよく出てきました。
空中散布で消毒するような話の記載がありました。
衛生環境がわるいなかの生活でしたので、病気が発生した記録はありました」
・細菌性赤痢は、国立感染症研究所のホームページでこう説明されています。
主な感染源はヒトであり、患者や保菌者の糞便、それらに汚染された手指、食品、水、ハエ、器物を介して直接、あるいは間接的に感染する。
潜伏期1~3日で発症し、全身の倦怠感、悪寒を伴う急激な発熱、水様性下痢を呈する。
・伊勢湾台風当時、公衆衛生の向上の途中であり、汲み取り式便所の使用がされていた時代背景を考えると、水害により赤痢の感染拡大が懸念されたことは想像ができるところです。
◎国立感染症研究所のホームページに、災害と感染症の情報があります。
令和3年夏季の水害に関して被災地域において注意すべき感染症が挙げられていました。
避難所、ボランティア作業での感染症発生リスクとして、COVID-19、呼吸器感染症、感染性胃腸炎、麻疹・風疹、レジオネラ、破傷風、レストスピラなどが挙げられています。
【ご案内】
・環監業務の悩み、課題がありましたら、ご相談をお受けしています。
・課題の解決につながる講座をご用意しています。
・環監のための、防災、レジオネラ症対策、仕事術、講座情報など最新情報をメールで真っ先にお届けしますので、ご希望される場合、①所属、②担当者名、③メールアドレスを、「お問い合わせはこちら」までお送りください。
・保健師の皆様への研修のご相談、避難所の衛生対策活動等のご相談をお受けしています。
【実績】
・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。
・2021年、東京都特別区職員研修所、令和3年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「新型コロナウイルスを踏まえた避難所の衛生対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。