【注意】夏季停電時の一酸化炭素中毒について
【夏季停電時に一酸化炭素中毒に注意するもの】
①発電機(屋内使用はNG)
②車中泊(排ガスに注意)
こんにちは 元文京区文京保健所・環境衛生監視員で、避難所の衛生対策、レジオネラ症対策の研修講師をしている「オフィス環監未来塾」中臣昌広です。
2023(令和5)年8月はじめ、大型で非常に強い台風6号の影響で、沖縄本島地方などで猛烈な風が吹き、停電が発生しました。
8月2日23時00分時点で、沖縄県全域で停電率27.1%の約17万戸が停電していました。
被災された皆様へお見舞い申しあげます。
【注意】夏季停電時の一酸化炭素中毒について、お話しします。
①発電機
発電機は、絶対に屋内で使用しないでください。
小型発電機は、ガソリン、軽油、カセットボンベなどを燃料に発電をします。
発電機の排気ガスに一酸化炭素が多く含まれ、室内で使用すると、死亡事故が起きる可能性があります。
カセットボンベ式の発電機の警告表示の一例では、こう書かれています。
「屋内等で絶対使用禁止、カセットコンロと異なり、排気ガス中の一酸化炭素濃度が高いので、短時間でも中毒死するおそれがあります」
一酸化炭素は、ニオイも色もなく、異変に気づきづらいのが特徴です。
一酸化炭素は、空気よりやや軽く、建物の天井や上階からたまりやすい傾向があります。
建物火災のとき、できるだけ低い姿勢で避難する理由のひとつが、一酸化炭素を吸い込まないようにするためです。
私の保健所・環境衛生監視員のビル衛生検査の経験では、通常の室内の一酸化炭素濃度は、測定値で0~0.1ppmです。
東京消防庁の資料に、空気中の一酸化炭素濃度(%)と症状の解説があります。
< 0.50~1.00%:1~2分で刺激に対する反応が低下し、呼吸ができなくなり、死亡する。 >
1%=10,000ppm です。
一酸化炭素は、人の血中で、酸素を運ぶヘモグロビンと結合しやすいので、酸素がヘモグロビンと結合できなくなり、身体の臓器に酸素が行きわたらなくなるため、症状が出ます。
特に、酸素を多く必要とする、脳細胞や心臓細胞で障害が起こりやすいといわれています。
『災害時・避難所の衛生対策てびき』中臣昌広著(一般財団法人日本環境衛生センター、税込1,500円)の監修をしていただいた、日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授は、発電機が自動車よりも急激に高濃度の一酸化炭素を排出するという実験結果が出たとお話しされています。
根本氏の講演動画から、自家発電機の排気の一酸化炭素濃度が、40~50秒後に、1,000ppmとなりました。30分以内で死亡の可能性があります。
②車中泊
車庫・小屋などの閉鎖空間でエンジンをかけっぱなしにしないでください。
前記の『災害時・避難所の衛生対策てびき』P83で、車中泊について、私はこう記述しています。
< 冷房・暖房のためにエアコンをつけるには、エンジンをかける必要がある。
アイドリングと同じ状態だ。
注意するのは、アイドリングの際に排ガスに含まれる一酸化炭素である。
夏季に、小屋などの閉鎖空間で車のエアコンをつけっぱなしにすると、排ガスが車内に入り込むことによる死亡事故につながりかねないので、最大限の注意が必要だ。 >
保健所・環境衛生監視員として私の建築物衛生法に基づくビル衛生監査の経験では、駐車場付近の空気環境測定で、アイドリングの影響から一酸化炭素濃度がすぐに、0.1ppmから10~20ppmに上昇したのを覚えています。
それだけ、急速に排ガスの影響があるのです。注意が必要です。
前記の根本氏の講演動画を拝見すると、車の排ガスの排気口近くで、一酸化炭素濃度は、500~600ppmとなりました。
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・2022年、国立保健医療科学院、令和4年度 住まいと健康研修で「災害時の公衆衛生活動」(オンライン)の講師をつとめました。
・2021年、東京都特別区職員研修所、令和3年度専門研修「地域保健」(主に保健師対象)で、「新型コロナウイルスを踏まえた避難所の衛生対策、保健所・環境衛生監視員の視点から」の講師をつとめました。